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CRM Analytics vs Tableau Desktop比較【Salesforceユーザー向け】

Salesforceエコシステムには2つのBI製品があります。CRM Analytics(旧Einstein Analytics)と Tableau Desktopはどう違うのか、どちらを選ぶべきなのかを5つの比較軸で徹底解説します。

はじめに ― Salesforceエコシステムの2つのBI製品

Salesforceを使っていると、「CRM Analytics」と「Tableau」という2つのBI(ビジネスインテリジェンス)製品の名前を耳にする機会があります。 どちらもSalesforce社が提供しているため、「同じもの?」「何が違うの?」と混乱している方は少なくありません。

実際にはこの2製品は、生まれた経緯も設計思想も異なります。 CRM AnalyticsはSalesforce社が自社開発したBI機能であり、TableauはSalesforceが2019年に約157億ドルで買収した独立したBIプラットフォームです。 同じ傘下にありながらも、得意とする領域と想定ユーザーが明確に違います。

この記事では、CRM AnalyticsとTableau Desktopを5つの軸で比較し、Salesforceユーザーがどちらを選ぶべきか、あるいは両方を使い分けるべきケースはどんなときかを整理します。

CRM Analyticsとは ― Salesforce組み込み型のBI

CRM Analyticsは、Salesforceプラットフォームに組み込まれたBI機能です。 かつては「Wave Analytics」「Einstein Analytics」「Tableau CRM」と名称が変遷し、 2022年に現在の「CRM Analytics」という名称に統一されました。

最大の特徴は、Salesforceのデータとシームレスに連携できる点です。 Salesforce標準オブジェクト(商談・取引先・リード・ケースなど)のデータをほぼリアルタイムで取り込み、 Salesforceの画面の中でダッシュボードを表示・操作できます。

  • Salesforceネイティブ統合:Sales Cloud・Service Cloud・Financial Services Cloudなどのワークフローに ダッシュボードを埋め込めます。データのエクスポート・インポートが不要です。
  • Einstein Discovery(AI予測):機械学習を用いたAI予測機能が標準搭載。「この商談がクローズする確率は?」「解約リスクが高い顧客は?」 といった予測インサイトをコードなしで生成できます。
  • レシピ機能(データ変換):データフロー・レシピと呼ばれるGUIベースのETL機能で、 Salesforceデータの加工・結合・集計を行えます。
  • ライセンスモデル:Salesforceのアドオンライセンスとして提供。エディション(Growth / Plus / Premium)ごとに機能差があります。

CRM Analyticsは「Salesforceのデータを使って、Salesforceの中で分析・予測したい」というユーザーに最適化されたツールです。 Salesforce管理者やSales Cloud利用企業にとって、標準レポートの限界を超える最初の選択肢になります。

Tableau Desktopとは ― 汎用BIツールの代名詞

Tableau Desktopは、2003年に創業されたTableau Software(現Salesforce)が開発した汎用BIツールです。 世界中のデータアナリスト・データサイエンティスト・BIエンジニアに広く利用されており、 BIツールのデファクトスタンダードとして長年のシェアを誇ります。

CRM Analyticsとの最大の違いは、データソースの接続範囲の広さです。 Tableau DesktopはSalesforceだけでなく、Excel・CSV・SQL Server・BigQuery・Snowflakeなど 90種類以上のデータソースにネイティブ接続できます。

  • 幅広いデータソース接続:Salesforce・SQL・クラウドDWH・スプレッドシートなど多様なデータソースを1つのビューに結合できます。 社内の複数システムのデータを統合分析する用途に強みがあります。
  • 高度なビジュアライゼーション:散布図・マップ・ガントチャート・ヒートマップ・ツリーマップなど多彩なグラフタイプを プログラミング不要で作成できます。
  • LOD式・計算フィールド:Level of Detail(LOD)式を使った複雑な集計や、 Windowsクイックテーブル計算など高度な計算機能が充実しています。
  • Tableau Cloud / Server での共有:作成したダッシュボードをTableau CloudやTableau Server上で組織内共有できます。 Tableau Publicを使えば無料で一般公開も可能です。
  • ライセンスモデル:Tableau Desktop(ローカル作成ツール)とTableau Cloud(共有・ホスティング)は別ライセンス。 2025年よりTableau Desktop Free Editionが提供開始され、個人利用ハードルが下がりました。

Tableau Desktopは「データソースを問わず、高度な分析・可視化を実現したい」ユーザーのための汎用ツールです。 Salesforceデータも扱えますが、それはTableauが対応する多くのデータソースの1つに過ぎません。

5つの軸で徹底比較 ― CRM Analytics vs Tableau Desktop

2製品の違いを、実際の選定に影響する5つの観点で整理します。

① データソース

CRM AnalyticsはSalesforceオブジェクトへの接続が主軸です。 外部データ取り込みはCSVアップロードやコネクタ経由で可能ですが、あくまでSalesforceプラットフォーム上での利用を前提としています。

Tableau DesktopはSalesforce含む90種類以上のデータソースにネイティブ接続できます。 ERP・MA・DWH・スプレッドシートを横断して1つのビューに統合できる点が最大の差別化要素です。

② 可視化の自由度

CRM Analyticsはダッシュボードのウィジェット形式が決まっており、 Salesforceのデザインガイドラインに沿ったUI構成になります。 標準レポートよりはるかに柔軟ですが、グラフタイプや配置の自由度ではTableauに劣ります。

Tableau Desktopはドラッグ&ドロップで自由度の高いレイアウトを実現できます。 グラフタイプの組み合わせ・二重軸・リファレンスライン・カスタムトルチップなど 高度なビジュアライゼーションに対応しており、デザインの完成度はBI製品中でもトップクラスです。

③ AI機能

CRM AnalyticsはEinstein Discoveryという強力なAI予測機能を持ちます。 Salesforceデータを使った商談予測・解約予測・レコメンデーションがノーコードで実現でき、 予測結果をSalesforceのレコードページに埋め込むことも可能です。

Tableau Desktopにも統計モデル(トレンドライン・予測・クラスター分析)が搭載されています。 2024年以降はTableau PulseやEinstein Copilotとの統合が進み、 自然言語でのデータ質問(NLQ)機能も強化されつつあります。ただし予測AIの深さではCRM Analyticsに分があります。

④ 価格

CRM AnalyticsはSalesforceのアドオンライセンス(月額ユーザー単価)です。 Growth・Plus・Premiumの3段階があり、Einstein Discovery(AI予測)はPremium以上が必要です。 Salesforceのエンタープライズ契約に追加するため、個人や中小企業にはコストハードルが高めです。

Tableau DesktopはTableau Desktopの単体ライセンスと、 Tableau Cloud(共有)の組み合わせで費用が発生します。 2025年以降はTableau Desktop Free Editionが提供され、個人学習コストは大幅に下がりました。 ただし組織全体への展開にはTableau Cloud/Serverのライセンス費用が別途必要です。

⑤ 学習コスト

CRM AnalyticsはSalesforceの既存知識が活かせる分、Salesforce管理者には取り組みやすい傾向があります。 しかしレシピ(ETL)やELT処理の概念は独自性が高く、Salesforceエコシステム外では汎用性が低い点がデメリットです。

Tableau Desktopは学習リソースが豊富(公式トレーニング・YouTube・書籍・PassDojo Tableau実践入門等)で、 独立したBI製品として市場でのスキル認知度が高いです。習得したスキルはSalesforce以外の職場でも通用します。

どちらを選ぶべきか ― 判断のフレームワーク

CRM AnalyticsとTableau Desktopは競合製品というより「補完関係」と捉えるのが正確ですが、 予算や学習リソースが限られている場合はどちらを優先すべきか判断が必要です。

CRM Analyticsを選ぶべきケース

  • 分析対象データがSalesforce内(商談・取引先・ケースなど)にほぼ集約されている
  • Salesforceのワークフロー・レコードページに分析結果を直接埋め込みたい
  • AIによる予測(商談予測・解約リスクなど)をノーコードで実現したい
  • すでにSalesforceのEnterprise以上のライセンスを保有しており、追加コストを最小化したい
  • Salesforce管理者・CRMアドミンが主な利用者になる

Tableau Desktopを選ぶべきケース

  • SalesforceデータとSalesforce以外のデータ(ERPや基幹システム、MAツールなど)を統合して分析したい
  • 高度なビジュアライゼーションやインタラクティブなダッシュボードを構築したい
  • Salesforceに依存しない汎用BIスキルとしてキャリアに活かしたい
  • Tableau資格(Data Analyst・Desktop基礎)を取得してスキルを証明したい
  • データアナリスト・BIエンジニアとして複数プロジェクトや会社をまたいで活躍したい

両方使い分けるケース ― 大企業での併用パターン

大企業やSalesforceの導入規模が大きい組織では、CRM AnalyticsとTableauを役割分担させて 併用するパターンが増えています。

典型的な使い分けは次のとおりです。

  • CRM Analytics(現場運用・リアルタイム監視):営業担当者がSalesforceの画面を開いたまま、自分の担当商談の進捗や 予測スコアをリアルタイムで確認するオペレーション用途。 Einstein Discoveryの予測インサイトをSalesforceのワークフローに統合して 自動アクション(次のステップ提示など)を実装するケースも。
  • Tableau(経営報告・横断分析):Salesforceの商談データ+ERPの売上実績データ+マーケティング施策の費用データを 統合したKPIダッシュボードを経営会議向けに作成する用途。 複数部門・複数システムをまたぐデータ統合が必要な経営分析には Tableauの接続範囲の広さが活きます。

このような役割分担では、CRM Analyticsの管理はSalesforce管理者チームが担い、 Tableauの運用はデータエンジニア・BIエンジニアのチームが担当するケースが多いです。 両ツールのスキルセットを持つ人材は、チーム間の橋渡し役として重宝されます。

資格の違い ― CRM Analytics資格 vs Tableau資格

キャリア観点から、2製品に関連するSalesforce認定資格の違いも整理しておきましょう。

CRM Analytics関連資格

  • Tableau CRM & Einstein Discovery Consultant(旧名称):現在は「CRM Analytics and Einstein Discovery Consultant」として提供されている上級資格。 CRM Analyticsのダッシュボード設計・レシピ・Einstein Discovery活用を問われます。 対象はSalesforce管理者またはコンサルタントレベル。

Tableau関連資格

  • Tableau Desktop基礎(旧Tableau Desktop Specialist):Tableau認定資格の入門レベル。Tableau Desktopの基本操作・グラフ作成・計算フィールドなどを問われます。 Salesforce認定資格のポートフォリオには含まれていません。
  • Tableau Certified Data Analyst(Tableau DA):Salesforce認定資格として正式に分類されています。 LOD式・統計分析・ダッシュボード設計まで幅広く問われる中級〜上級資格。 Salesforceのトレイルヘッドで実績が認定されます。

CRM Analytics資格はSalesforceコンサルタントとしてのキャリアに直結する資格です。 一方、Tableau Data Analyst資格はSalesforce認定資格でありながら、 汎用BIスキルとしての市場認知も高く、転職市場でもアピール力があります。

どちらの資格を先に取るべきかは、現在の業務内容とキャリア目標によります。 Salesforce管理者としてキャリアを深めるならCRM Analytics資格、 データアナリストとしての転換を目指すならTableau DA資格がおすすめです。

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※ 本記事の内容はSalesforceユーザー向けにCRM AnalyticsとTableau Desktopの概要を比較するために作成しています。 製品名・ライセンス体系・価格・機能は変更される場合があります。 最新情報はSalesforce公式サイトおよびTableau公式サイトをご確認ください。