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デジタルガバナンスコードとは?
最新3.0の要点をわかりやすく解説

経済産業省が策定した「デジタルガバナンスコード」は、企業がDXを推進するうえで 経営者が実践すべき規範をまとめたガイドラインです。2020年の初版(1.0)から 2024年の最新版(3.0)まで進化を続けており、DX認定制度の基準としても参照されています。 ITパスポートやSG試験でも出題されるこの概念を、変遷・内容・実践の切り口からわかりやすく解説します。

デジタルガバナンスコードとは

デジタルガバナンスコードは、経済産業省が2020年に策定した指針で、 企業がデジタル技術を活用して競争力を高めるために、経営者が実践すべき行動規範を示したものです。 正式名称は「デジタルガバナンス・コード」であり、DX推進指標と並んでDX政策の重要な柱となっています。

策定の背景には「2025年の崖」問題があります。日本企業の多くが老朽化した基幹システム(レガシーシステム)を 抱えたまま2025年を迎えた場合、システムの保守費用が膨らみ、DXが進まないどころかIT予算を 食いつぶす事態になると経産省は試算しました。その試算では最大で年間12兆円もの経済損失が生じると 警告されており、危機感を持った経産省がDX推進の規範として本コードを策定したのです。

ポイントは、このコードが「ITの担当者向け」ではなく「経営者向け」に作られている点です。 デジタル変革を現場任せにせず、経営のトップが戦略的にコミットすることを求めています。 大企業からスタートアップ、中小企業まで、業種・規模を問わず全ての企業が対象とされています。

1.0→2.0→3.0の変遷

デジタルガバナンスコードは初版策定から約4年間で3度の改訂を経ています。 それぞれの版で何が変わったのかを整理しましょう。

バージョン策定年主な特徴・変更点
1.02020年「2025年の崖」問題への対応として初版策定。ビジョン・戦略・組織・ITシステムの4本柱。
2.02022年デジタル人材の育成・確保をDX認定基準に追加。SX(サステナビリティ)・GX(グリーン)との関連を明示。
3.02024年「3つの視点・5つの柱」に再編成。成果指標の設定やステークホルダーとの対話を柱として新設。

2.0では、DX認定の審査基準に「デジタル人材の育成・確保」が加わりました。 DXを実現するためには戦略だけでなく、それを担う人材が不可欠だという認識が 企業・行政双方で深まったことが背景にあります。また、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)や GX(グリーン・トランスフォーメーション)との関連も明示され、単なるIT投資ではなく 持続可能な企業変革としてDXを位置づける方向性が強まりました。

2024年の3.0では、コード全体が「3つの視点」と「5つの柱」に再編成されています。 3つの視点とは「経営ビジョンとDX戦略の連動」「As is - To beギャップの定量把握・見直し」 「企業文化への定着」です。また5つの柱では、戦略の推進に必要な要素(組織づくり・人材・ ITシステム)が③DX戦略の推進として統合され、新たに④成果指標の設定・見直しと ⑤ステークホルダーとの対話が柱として明示されました。

3.0の「5つの柱」を読み解く

3.0で整理された「5つの柱」は、デジタルガバナンスコードの核心部分です。 それぞれの柱が何を求めているのかを理解することが、DX認定取得や試験対策の第一歩になります。

概要
①経営ビジョン・ビジネスモデルの策定デジタル技術を活用した将来の経営ビジョンとビジネスモデルを明確にし、ステークホルダーに発信する。
②DX戦略の策定ビジョンを実現するための具体的な戦略を設定し、体制・技術・人材を含む推進方針を明示する。
③DX戦略の推進組織づくり・デジタル人材の育成・確保・ITシステム・サイバーセキュリティの3要素を統合的に推進する。
④成果指標の設定・DX戦略の見直しKPI等の成果指標を設定し、定量的な進捗評価に基づいて戦略を継続的に改善する。
⑤ステークホルダーとの対話DXの取り組み状況を投資家・取引先・社員等に積極的に発信し、共創・協力関係を構築する。

①のビジョン策定は、DXの出発点です。「なんとなくデジタル化したい」ではなく、 「デジタル技術で何を実現するのか」を経営者が言語化し、社内外に発信することが求められます。 ②の戦略策定では、ビジョンを絵に描いた餅にしないために、推進体制と具体的方針を設計します。

③のDX戦略の推進は、組織づくり・デジタル人材の育成と確保・ITシステムとサイバーセキュリティ という3つの実行要素を統合的に推進する柱です。縦割り構造の打破、専門人材の確保、 レガシーシステムの刷新など、DX実現に必要な実行基盤を整えます。 ④の成果指標の設定・見直しでは、KPI等を活用してDX推進の進捗を定量的に把握し、 戦略を継続的に改善していくサイクルの確立を求めています。 ⑤のステークホルダーとの対話では、投資家・取引先・社員等にDXの取り組み状況を 積極的に発信し、共創関係を構築することが重視されています。

試験に出るポイント

ITパスポート・SG試験では「5つの柱」の名称と内容が問われます。 特に④「成果指標の設定・見直し」と⑤「ステークホルダーとの対話」が 3.0で独立した柱として新設された点を押さえておきましょう。

DX認定制度との関係

DX認定制度は、デジタルガバナンスコードに基づいてDXに向けた準備が整っている企業を 経済産業省が認定する制度です。2020年の情報処理促進法改正を根拠として運用されており、 申請窓口はIPAが担っています。デジタルガバナンスコードの「5つの柱」に対応した 自己申告書類を提出し、審査を通過することで認定事業者となります。

認定を取得するメリットは複数あります。まず補助金・税制面では、IT導入補助金の 特別枠への申請や、DX投資促進税制(情報技術事業適応促進税制)の適用が受けられます。 金融機関からの融資においても、DX認定は企業の変革推進力を示す指標として評価されるケースが 増えています。また、取引先や求職者に対してDX推進への姿勢を客観的に示せるため、 ブランド価値向上にもつながります。

DX認定とDX銘柄の違い

DX認定は「DXに向けた準備ができている企業」への認定(経産省・IPA)で、 中小企業も含む幅広い企業が対象です。一方、DX銘柄は東証上場企業の中からDX優良企業を 選定する取り組みで、経産省と東証が共同運営しています。レベル感が異なることを 押さえておきましょう。

ITパスポート・SG試験との関連

デジタルガバナンスコードは、情報処理技術者試験のシラバスにも組み込まれており、 特にITパスポートとSG(情報セキュリティマネジメント試験)で出題が見られます。 出題範囲はストラテジ系(企業と法務・システム戦略)の分野です。

ITパスポートでは「DX推進指標」「DX認定」「デジタルガバナンスコード」が セットで出題されることが多く、それぞれの位置づけの違いを理解しておくことが重要です。 DX推進指標は企業が自己診断するためのツール、デジタルガバナンスコードはその基盤となる規範、 DX認定はコードへの準拠を示す認定制度、という関係性を整理しておきましょう。

SG試験では、⑤のITシステム・サイバーセキュリティの柱との関連で、 経営者のセキュリティへのコミットメントという観点から出題されることがあります。 ISMSやサイバーセキュリティフレームワークと並んで押さえておきたいテーマです。

模擬試験で実力を確認したい方は、ITパスポート模擬試験SG模擬試験をぜひ活用してみてください。 また、IPA試験体系全体の最新動向についてはIPA試験2027年改訂の解説記事も あわせてご覧ください。2027年新設予定のデータマネジメント試験に向けた学習計画は対策ロードマップ記事で解説しています。

企業が取り組むべきこと

デジタルガバナンスコードは大企業だけのものではありません。 中小企業でも実践できるよう、経産省は段階的な取り組みを想定した自己診断ツールを 提供しています。「完璧なDX戦略を一気に構築する」ではなく、 「今の自社に何が足りないかを把握し、一歩ずつ前進する」という姿勢が重要です。

まずおすすめするのは「DX推進指標」による自己診断です。 5つの柱に対応した設問に回答することで、自社のDX成熟度を可視化できます。 IPAのWebサイトから無償で利用でき、業種・規模の近い企業のベンチマークデータとも 比較できるため、優先的に取り組むべき課題が浮かび上がってきます。

次のステップとして、経営者がデジタルガバナンスコードの「5つの柱」に沿った 取り組み状況を言語化し、社内外に発信することを目標にしましょう。 DX認定の申請は、この発信を整理する良い機会にもなります。 データを組織的に管理・活用する仕組みについてはデータマネジメントの基礎解説、 方針・ルール策定の体制づくりについてはデータガバナンスガイドもご参照ください。 初めての申請では「現状の把握と課題の明示」だけでも十分な出発点になります。

データを活用した意思決定を強化したい場合は、データマネジメントの基礎知識を 学ぶことも有効です。データ戦略は3.0でいっそう重視されているテーマであり、 技術的な理解と経営的な視点を組み合わせることが求められています。

まとめ

デジタルガバナンスコードは、経済産業省が「2025年の崖」への対応策として策定した DX推進の規範です。2020年の初版から2024年の3.0まで改訂を重ね、最新版では 「3つの視点・5つの柱」に整理されています。成果指標の設定・見直しや ステークホルダーとの対話が独立した柱として新設された点は、DXの実効性と 対外的な説明責任を重視する方向性の表れです。

DX認定制度の基準としても参照されており、取得することで補助金・税制・融資・ ブランド面でのメリットが得られます。ITパスポートやSG試験では、 ストラテジ系の分野でDX推進指標・DX認定とあわせて出題されるため、 「5つの柱」の内容と変遷は確実に押さえておきましょう。

ITパスポート・SGで確実に得点しよう

デジタルガバナンスコードはストラテジ系の頻出テーマです。 模擬試験で知識を確認してみましょう。

ITパスポート模擬試験SG模擬試験

よくある質問

デジタルガバナンスコードはどんな企業が対象ですか?

業種・規模を問わず全ての企業が対象です。ただし、DX認定の取得は任意であり、 中小企業に対しては段階的な取り組みを促す形で設計されています。 まずはDX推進指標による自己診断から始めることが推奨されています。

DX認定を取得するメリットは何ですか?

IT導入補助金などの補助金優遇、DX投資促進税制(税制優遇)、 融資審査での評価向上、取引先・採用活動でのブランド向上といったメリットがあります。 認定を取得することで、経営者がDXにコミットしていることを対外的に示せる点も重要です。

ITパスポート試験にデジタルガバナンスコードは出題されますか?

はい、出題されます。ストラテジ系(企業と法務・システム戦略)の分野で、 DX推進指標やDX認定制度とあわせて出題されます。「5つの柱」の名称と内容、 3.0でデジタル人材の育成・確保が独立した柱になった背景を押さえておきましょう。