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プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)とは?
3領域の違いと選び方 2027年新設

2027年度に新設予定の「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」は、ITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験・応用情報技術者試験・高度試験などの現行体系を大幅に再編する試験制度改訂の中核に位置します。本記事では、2026年3月公表の「情報処理技術者試験の出題範囲等の改定案Ver.1.0」(PDF)に基づき、試験の全体像・3領域の違い・自分に合った領域の選び方を整理します。すべての試験名・区分は仮称であり、正式公表前の改定案に基づく情報であることをあらかじめご了解ください。

プロフェッショナルデジタルスキル試験とはどんな試験か

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は、IPAが2026年3月に公表した「情報処理技術者試験の出題範囲等の改定案Ver.1.0」において示された2027年度新設予定の試験群です。試験の正式名称はまだ確定しておらず、「仮称」であることに注意が必要です。現行の応用情報技術者試験・高度試験の後継として位づけられる新たな試験区分が、この試験群の中心をなします。

新設の背景には、デジタル化・AI活用の急速な進展に伴う人材ニーズの変化があります。現行の試験体系は2009年に大幅改訂されたものが基本となっており、データサイエンス・AI実装・データマネジメントといった現代の業務ドメインに対応した試験が不足していました。IPAは2026年4月16日にデジタルスキル標準ver.2.0を公表し、スキル標準と試験制度を一体として整備する方針を示しています。試験制度改訂の全体像については情報処理技術者試験 2027年大改訂まとめで整理しています。また、デジタルスキル標準ver.2.0と新設試験の接続関係についてはデジタルスキル標準ver.2.0とプロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の接続を読み解くをご覧ください。

試験方式の最大変更点: 全区分CBT化

現行の高度情報処理技術者試験では、午後II試験として「論述問題(2000字~3000字の論文)」が課されています。これは、受験者がシステム開発・プロジェクト管理などの経験を文章で論述するもので、現行試験の象徴的な出題形式でした。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)では、論述問題が新試験には含まれず(2028年度以降の論述評価のあり方は継続検討中)、全区分が選択肢問題・記号問題によるCBT(コンピュータ使用試験)方式に統一される見込みです(改定案Ver.1.0に基づく)。論述のための経験記述準備が不要になる一方、幅広い知識・技能領域を短答形式で問う問題が増加することが予想されます。CBT化により試験の実施頻度や会場の柔軟性も変わる可能性があります。

情報の暫定性について

本記事の全ての内容は、2026年3月31日公表の「情報処理技術者試験の出題範囲等の改定案Ver.1.0」(PDF)に基づきます。試験名称・区分・出題範囲・実施時期はすべて仮称・見込みであり、今後の正式公表で変更される可能性があります。PassDojoでは正式公表後に本記事を更新します。最新情報は必ずIPA公式サイトでご確認ください。

3領域の全体像——どれが自分に合うか(選び方フロー)

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は、扱うドメインによって以下の3領域(区分)に分かれる予定です。それぞれ科目A(知識)と科目B(技能)で構成されますが、「科目A-1 共通知識」は3領域に共通する出題範囲となっており、デジタル戦略・ビジネス変革・AI基礎リテラシー・情報セキュリティなどが含まれます。

試験領域(仮称)主な対象者科目B(技能)の主な出題分野対応するDSSv2.0類型
プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験DX推進・IT企画・プロジェクトマネージャー・監査担当組織・ビジネス変革、サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、ガバナンス・監査ビジネスアーキテクト類型
プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験データアナリスト・データエンジニア・AI活用担当データマネジメント、データ・AI活用、データエンジニアリング、データ処理・アルゴリズムデータマネジメント類型・データサイエンティスト類型(AI実装・運用)
プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験システムアーキテクト・ITスペシャリストシステムアーキテクチャ設計・IT基盤構築(詳細は別記事で公開予定)ソフトウェアエンジニア類型

本記事では、プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験については別記事で詳しく扱うこととし、プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験とプロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験の2領域を中心に解説します。

なお、プロフェッショナルデジタルスキル試験とは別の試験区分として「データマネジメント試験(仮称)」も設計されています。これはデジタルスキル標準ver.2.0のスキルレベル3相当を対象とした入門的な試験であり、本記事が対象とするスキルレベル4~5相当のプロフェッショナルデジタルスキル試験とは位置づけが異なります。詳細はデータマネジメント試験(仮称)とは?概要と受験対策で解説しています。

プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験の特徴

プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)は、「組織やビジネスにおける、データ及びデジタル技術を利活用するプロセスをマネジメントする専門的な知識及び技能」を測定することを目的とする試験です(改定案Ver.1.0の記述に基づく)。

主な対象者は、DX推進プロジェクトのリーダー・IT企画担当・プロジェクトマネージャー・IT監査担当です。自らコードを書いたりデータを分析したりするというよりも、組織・チームを動かしてデジタル変革を実現する「マネジメント」の役割を担う人材がこの試験の主な受験者層となります。

科目B(技能)の出題範囲4領域

改定案Ver.1.0に記載されたプロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験の科目B出題範囲は以下の4分野です。

  1. 組織及びビジネスの変革・デジタル戦略に関すること— 外部・内部環境分析(SWOT・PEST等)、ビジネスモデル設計・改善、イノベーションマネジメント、システム思考・デザイン思考を含む。DX推進の計画立案から実行管理までの実践的な技能を問う。
  2. サービスマネジメントに関すること— 事業関係管理、変更管理、インシデント管理、サービス継続管理など、ITサービスを安定的に提供・改善するためのプロセス管理の技能を問う。
  3. プロジェクトマネジメントに関すること— 組織・チームの設計から立ち上げ・計画・実行・監視・終結までのプロジェクト管理の実践技能を問う。スコープ・コスト・品質・リスク・ステークホルダー管理が含まれる。
  4. 組織のガバナンス・監査に関すること— 内部統制の設計・評価、デジタル環境のIT監査、AIセキュリティ監査など、組織全体のリスク管理・ガバナンス体制を問う。AIガバナンスはこの試験でも出題される重要領域。

この試験の詳細な出題範囲は別記事で公開予定です。

現行のどの試験に近いか(ITストラテジスト・プロジェクトマネージャー試験との関係)

プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験の科目B出題範囲を現行試験と比較すると、ITストラテジスト試験(ST)が担ってきた「経営戦略・DX戦略の立案」領域と、プロジェクトマネージャー試験(PM)が担ってきた「プロジェクト管理」領域、さらにITサービスマネージャー試験(SM)の「サービスマネジメント」領域、システム監査技術者試験(AU)の「ガバナンス・監査」領域が統合されたものです(改定案Ver.1.0の記述に基づく本記事の読み取り)。

単一の領域に特化した現行高度試験と異なり、マネジメントに関わる複数の専門領域を横断的に問う構成となっています。全区分CBT化・論述形式の不含により、経験記述に依存した対策から、幅広い知識・事例対応力を磨く対策へのシフトが求められます。

プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験の特徴

プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)は、「組織やビジネスのデータドリブンな活動を支える基盤を構築してデータを整備する専門的な知識及び技能」を測定することを目的とする試験です(改定案Ver.1.0の記述に基づく)。

主な対象者は、データアナリスト・データエンジニア・データアーキテクト・機械学習エンジニア・AI活用担当者です。データを収集・整理・活用する一連のプロセスを技術的に支える人材、または組織のデータ戦略を担う人材が主な受験者層です。

科目B(技能)の出題範囲4領域

改定案Ver.1.0に記載されたプロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験の科目B出題範囲は以下の4分野です。

  1. データマネジメントに関すること— データ戦略の立案・推進、データガバナンス体制の設計、データ品質管理(プロファイリング・クレンジング)、マスタデータ管理、メタデータ管理など。デジタルスキル標準ver.2.0の「データマネジメント類型」(データスチュワード・データアーキテクト)の業務と対応する。
  2. データ・AIの活用に関すること— データ分析・可視化(統計分析・BI活用)、機械学習モデルの構築・評価・運用、生成AI・RAG・AIエージェントの実装・活用、AI倫理・AIガバナンスの実践を含む。
  3. データエンジニアリングに関すること— データモデリング(概念・論理・物理設計)、データ統合・変換(ETL・ELT処理)、データウェアハウス・データレイク・データパイプラインの設計・構築を問う。
  4. データ処理とアルゴリズムに関すること— SQL・CRUDを使ったデータ操作、データ構造(リスト・ツリー・グラフ等)、アルゴリズム・擬似言語プログラミングの実践問題を含む。SQLが明示されている点は、技術系人材を主な対象とすることを示している。

この試験の詳細な出題範囲は別記事で公開予定です。

現行のどの試験に近いか(データベーススペシャリスト試験との関係)

プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験の科目B出題範囲は、現行のデータベーススペシャリスト試験(DB)が担ってきた「データモデリング・SQL・データ管理」の領域が中心となり、加えて生成AI・RAG・AIエージェントといった現行試験では十分に問われていなかった最新技術領域が新たに盛り込まれた構成です(改定案Ver.1.0の記述に基づく本記事の読み取り)。

SQLの出題が明示されていることは、「データを使う人材」だけでなく「データ基盤を技術的に構築・運用する人材」まで幅広く対象としていることを示しています。現行のデータベーススペシャリスト試験を受験中または合格済みのエンジニアには、この試験への移行が有力な選択肢となる可能性があります。

応用情報・高度試験から移行する人は何が変わるか

現在、応用情報技術者試験(AP)や現行の高度情報処理技術者試験を受験中・準備中の人にとって、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の新設は受験戦略に影響します。改定案Ver.1.0の記述に基づき、変化のポイントを整理します。

全区分CBT化・論述形式は新試験に不含——受験スタイルへの影響

現行のITストラテジスト試験・プロジェクトマネージャー試験・システム監査技術者試験など高度試験の多くは、午後II試験として2000~3000字程度の論述問題を課します。この論述試験の準備には、自身のプロジェクト経験を整理した「論述ネタの蓄積」と、設問に応じて論点を展開する「論文構成力」の訓練が必要であり、多くの受験者が最大の難関と感じてきました。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)では、論述問題が新試験には含まれず(2028年度以降の論述評価のあり方は継続検討中)、全区分がCBT(コンピュータ使用試験)方式に移行する見込みです(改定案Ver.1.0に基づく)。この変更により:

  • 論文ネタの準備・論述対策が不要になる
  • 選択肢問題・事例問題による技能測定にシフトする
  • 試験会場・実施頻度の柔軟化が期待できる(CBT方式の一般的なメリット)
  • 幅広い知識・実践的な判断力を短答形式で示す能力が重要になる

ただし、CBT化は試験の「難易度が下がる」ことを意味するわけではありません。論述形式が含まれなくなる代わりに、科目B(技能)では4~5択形式の応用問題・事例問題が充実する可能性があります。応用情報技術者試験の午後試験で問われてきた「状況判断・根拠明示型の問題解法」のアプローチは、引き続き有用です。

なお、応用情報技術者試験(AP)そのものについては、改定案Ver.1.0の段階では2027年度以降も継続される見込みが示されていますが、最終的な位置づけは正式公表をご確認ください。

現行試験受験中の方へ

2026年度・2027年度の試験については現行試験の形式で実施される予定です。既に準備を始めている場合は、現行試験での合格を目指しながら、並行してプロフェッショナルデジタルスキル試験の情報収集を進めることを推奨します。試験制度の移行期については、IPAの正式アナウンスで確定スケジュールを確認してください。

現行試験との詳細な比較は別記事で公開予定です。

試験スケジュールと今からできる準備

以下のスケジュールは、2026年3月公表の改定案Ver.1.0に基づく見込みです。確定情報が公表された時点で更新します。

時期(見込み)イベント備考
2026年夏頃詳細シラバス(正式版)の公表予定出題範囲・問題形式の確定。改定案Ver.1.0からの変更点に注意
2026年度中受験申込手続き・試験システム整備CBT方式のため申込・実施体制も現行と異なる可能性あり
2027年度 夏~秋頃プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)初回実施(見込み)すべて見込み。正式スケジュールはIPA公式サイトで確認必須

正式なシラバスが出るまでの間、今から取り組める準備を以下にまとめます。

  • 改定案Ver.1.0 PDFの精読: IPAが公表している出題範囲等の改定案Ver.1.0(PDF)を読み込み、自分が受験を検討する領域の科目B出題中分類を把握する。
  • デジタルスキル標準ver.2.0でロールを確認: 自分の業務がDSSv2.0のどの類型・ロールに当たるかを確認し、受験領域を確定する。
  • 基礎力の強化: どの領域を受験するにしても、「科目A-1 共通知識」(デジタル戦略・AI基礎・セキュリティ)は共通出題範囲です。ITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験の範囲から着実に固めておくことが有効です。PassDojoで学習を開始できます。
  • データ・AI領域の受験検討者向け: SQLの基礎・データモデリングの概念・機械学習の基礎知識を先行して学習しておくことが有効です。
  • マネジメント領域の受験検討者向け: プロジェクト管理の基礎・ITサービスマネジメントの概念・内部統制の基礎を体系的に整理しておくことが有効です。

PassDojoでは、正式シラバスの公表後に新試験向けの想定問題・学習コンテンツを順次追加する予定です。データマネジメント試験(仮称)向けコンテンツはデータマネジメント試験(仮称)とは?概要と受験対策で先行公開しています。

まとめ——「どの領域を受けるか」判断チェックリスト

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は、2027年度に新設予定のIPA試験であり、現行の応用情報技術者試験・高度試験体系を大幅に再編する試験制度改訂の核心です。本記事の要点を以下にまとめます。

  1. 全区分CBT化・論述形式は新試験に不含: 現行高度試験の最大の特徴だった論述問題が新試験には含まれず(2028年度以降の論述評価のあり方は継続検討中)、選択肢・事例問題中心のCBT方式に移行する見込みです(改定案Ver.1.0に基づく)。
  2. 3領域への分化: マネジメント・データ・AI・システムの3試験に分かれており、受験者は業務ドメインに応じて選択します。
  3. 科目A-1共通知識: 3領域に共通する出題範囲があり、デジタル戦略・AI基礎・セキュリティは共通対策が可能です。
  4. 正式シラバスは2026年夏頃公表予定: 現時点の情報はすべて改定案Ver.1.0ベースの見込みです。正式公表後に内容を更新します。

受験領域の選択にあたっては、以下の判断基準を参考にしてください。

あてはまる状況推奨領域(仮称)
データ分析・データ基盤構築・機械学習モデル開発・生成AI活用・SQLを使ったデータ処理が業務の中心であるプロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験が主な選択肢
DX推進プロジェクトのリーダー・IT企画・プロジェクトマネージャー・IT監査担当として組織横断的な役割を担っているプロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験が主な選択肢
システムアーキテクチャ設計・IT基盤の技術的構築を主業務とするエンジニアであるプロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験が主な選択肢(詳細は別記事で公開予定)
AI倫理・AIガバナンス・情報セキュリティを組織全体の観点から管理する立場にあるマネジメント領域・データ・AI領域のどちらにも共通出題される。まずは現職ロールで主領域を選択
応用情報技術者試験に合格済みで次のステップを探している業務ドメインに応じてマネジメント・データ・AI・システムのいずれかを選択。全区分CBT化・論述形式は新試験に不含(継続検討中)の影響は第5節を参照

試験制度改訂に関する正式情報は出題範囲等の改定案Ver.1.0(PDF, IPA公式)から確認できます。PassDojoでは引き続き最新情報を追いかけ、ブログ・学習コンテンツを通じて受験者をサポートします。

本記事は2026年3月31日公表の「情報処理技術者試験の出題範囲等の改定案Ver.1.0」(PDF)に基づいています。試験名・試験区分・出題範囲・実施時期はすべて仮称・見込みであり、今後の正式公表で変更される可能性があります。最新情報はIPA公式サイト(https://www.ipa.go.jp/)でご確認ください。