DXとは何か — IT化との違いと行政DX
導入
マイナンバーカードひとつで行政手続きがオンラインで完結したり、銀行に行かなくてもスマホで口座開設できたり――こうした変化は単なる「IT化」ではなく、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の一部として語られることが多くなっています。DXという言葉は試験でも頻出ですが、IT化との違いをはっきり理解できている人は意外と少ないのではないでしょうか。このセクションでは、DXの本質と日本における行政DXの動向を確認していきます。
くわしく知ろう
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセス、さらには組織文化そのものを変革し、新たな価値を生み出すことを指します。「デジタル化」や「IT化」と混同されることがありますが、この2つは本質的に異なる概念です。
IT化(デジタイゼーション)は、これまで紙や人手で行っていた作業をコンピュータやシステムに置き換えることを意味します。たとえば、紙の申込書をPDFに変換したり、手書き台帳をExcelで管理したりする行為がIT化にあたります。業務のやり方は変えずに、道具だけをデジタルに切り替えるイメージです。
一方でDXは、デジタル技術を活かして「仕事のやり方」や「提供する価値」そのものを根本から変えることを目指します。たとえば、申込書をデータ化するだけでなく、そのデータをもとにAIが審査を自動化し、顧客への提案までを変革するといった取り組みがDXとして知られています。つまり「手段のデジタル化」ではなく「変革のためのデジタル活用」というのがDXの本質です。
この概念を最初に提唱したのはスウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマンで、2004年に「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義しました。日本では経済産業省が2018年に「DXレポート」を発表し、企業へのDX推進を訴えたことで急速に注目を集めるようになっています。
具体例
たとえば、行政手続きにおける「行政DX」は、政府が推進するデジタル化の代表例です。マイナポータルを通じた確定申告や子育て支援の申請がオンラインで完結するようになったのは、単に紙をデータに替えたIT化ではなく、窓口に足を運ばなくてよい新たな行政サービスの在り方を実現したDXにあたります。一方、企業の例では、既存の小売業者が店舗販売にECサイトを追加しただけであればIT化ですが、購買データをもとに個人の好みに合わせた商品を提案し、在庫管理から物流まで一体で最適化する仕組みを構築した場合はDXと呼べます。
まとめ・試験ポイント
- DX=デジタル技術でビジネスモデル・業務・組織文化を根本から変革すること
- IT化(デジタイゼーション)=作業を紙・人手からデジタルツールに置き換えること
- DXとIT化の最大の違い=「道具の変更」か「価値・やり方の変革」か
- 行政DX=マイナポータル・オンライン申請など、行政サービスの変革
- 経済産業省のDXレポート(2018年)が日本におけるDX推進の契機
- 試験では「DXの説明として最も適切なもの」を選ぶ問題が頻出で、IT化との混同に注意
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