マネジメント系

プロジェクトコスト管理 — 予算と実績を追う方法

導入

「予算内で終わるはずだったのに、気づいたら大幅オーバーしていた」――プロジェクトの世界ではよくある悩みです。コストを計画的に管理するためには、見積もりの精度を高めることと、進行中に予算と実績をリアルタイムで比較する仕組みが欠かせません。

なぜ重要か

プロジェクトのコスト管理は、ITパスポートのマネジメント系分野で安定して出題されるテーマです。特にEVM(アーンドバリュー管理)はPV・EV・ACの3指標と、そこから導く差異の計算が繰り返し問われており、一度仕組みを理解すれば得点に直結します。

実務においても、コスト管理の知識は非常に重要です。プロジェクトの途中で「このまま進めると予算オーバーになる」という兆候を早期に発見できなければ、大きな損失につながります。EVMを使うと、進捗率とコスト消化率を同時に把握できるため、問題の予兆を数値として可視化できます。

また、見積もり手法の選択もプロジェクト成否に大きく影響します。どの手法がどのような場面に適しているかを理解しておくことは、計画立案の精度を上げる基礎になります。

くわしく知ろう

プロジェクトのコスト管理は、大きく「見積もり」と「進捗管理」の2段階に分かれています。

見積もりの代表的な手法として、ファンクションポイント法と類推見積もり法があります。ファンクションポイント法とは、システムの機能の数と複雑さを数値(ポイント)化して開発規模を測る手法です。一方、類推見積もり法は過去の類似プロジェクトの実績をもとに今回の規模を推定するもので、経験値が活きる方法として知られています。このほか、ボトムアップ見積もり法は作業を細かい単位に分解してコストを積み上げる手法で、精度は高いものの時間がかかるという特徴があります。

進捗管理のツールとして特に重要なのが、EVM(アーンドバリュー管理)です。EVMでは3つの指標を使います。PV(計画価値)は「この時点で完了しているはずの予算額」、EV(アーンドバリュー)は「実際に完了した作業の予算額」、AC(実際コスト)は「実際にかかった費用」です。EVとACを比べることで、予算に対して割高か割安かを判断でき、EVとPVを比べると進捗の遅れ・進みがわかります。

コスト差異(CV)はEV-ACで求め、プラスなら予算内、マイナスなら超過を意味します。スケジュール差異(SV)はEV-PVで求め、プラスなら進んでいる、マイナスなら遅れていることを示します。

具体例で理解する

たとえば、100万円の予算で50%進捗が予定されている時点に、実績が40%完了でコストが60万円かかっていた場合を考えます。EV=40万円、PV=50万円、AC=60万円となり、CV=40-60=-20万円(予算超過)、SV=40-50=-10万円(スケジュール遅延)と数値で状況を把握できます。EVMを使うことで、こうした「見えにくいコスト超過」を早期に発見し、対策を打つタイミングを逃さずに済みます。

試験での出題パターン

【パターン1:EVMの各指標の意味を問う問題】

PV・EV・ACのうち「実際に完了した作業量に対応する予算額」がどれかという形式で出題されます。EVという略語が「アーンドバリュー(出来高)」を指すと覚えておけば、混同しにくくなります。「計画=PV」「出来高=EV」「実際コスト=AC」という対応を整理しておくと解答が速くなります。

【パターン2:差異(CV・SV)の正負から状況を読み取る問題】

具体的な数値が与えられ、CVがマイナスならコスト超過・SVがマイナスならスケジュール遅延という判断を問う問題です。計算自体は引き算なので難しくありませんが、「EV-AC」と「EV-PV」の順序を逆に覚えると全て逆の答えになるため、式の順番を確実に定着させることが大切です。

【パターン3:見積もり手法の特徴を問う問題】

「過去の類似プロジェクトの実績を使う」という記述が類推見積もり法、「機能の数と複雑さを定量化する」という記述がファンクションポイント法を指します。それぞれのキーワードと対応させて覚えることが重要です。

よくある間違い・紛らわしいポイント

【EV・AC・PVの混同】

最も多い誤りは、EV(アーンドバリュー)とAC(実際コスト)の混同です。EVは「完了した作業を予算ベースで評価した額」であり、ACは「実際に支払った費用」です。進捗率が低くても費用だけがかかっている状況では、EV<ACとなり予算超過を示します。「EV=出来高の予算換算」と繰り返して定着させることをお勧めします。

【CV・SVの計算式の逆引き】

CVはEV-AC、SVはEV-PVです。どちらもEVを基準に引き算する点を意識すると覚えやすくなります。AC-EVやPV-EVで計算してしまうと正負が逆になり、超過・遅延の判断が真逆になってしまいます。

【ファンクションポイント法とLOC法の混同】

ファンクションポイント法(FP法)は画面・帳票・ファイル・インタフェースといった機能の数と複雑さから規模を数値化する手法です。一方、LOC法(ステップ数見積り法)はプログラムの行数からコストを見積もる手法で、設計が進まないと精度が出にくい特徴があります。「機能ポイント=FP法」「行数=LOC法」という対応を整理しておくと、他の選択肢との区別がしやすくなります。

まとめ・試験ポイント

  • ファンクションポイント法=機能の数と複雑さからコストを見積もる
  • 類推見積もり法=過去の類似プロジェクトを参考にする
  • EVM=PV(計画)・EV(出来高)・AC(実績コスト)の3指標で管理
  • CV=EV-AC(プラス:予算内、マイナス:超過)
  • SV=EV-PV(プラス:進んでいる、マイナス:遅れている)
  • 試験ではEVMの各指標の意味と、CVおよびSVの計算問題が出題されやすい

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