ストラテジ系

UXとアクセシビリティ — 使いやすさを設計するとは

導入

アプリのボタンが小さくて押しにくかったり、色だけで情報を伝えられて困った経験はないでしょうか。使いやすさの設計は、すべての人が快適に利用できるかどうかを左右する重要なテーマです。

なぜ重要か

UXとアクセシビリティは、ITパスポートのストラテジ系でまとまって出題される定番テーマです。UI・UX・アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン・WCAGといった用語の定義と相互関係を問う問題が繰り返し出題されています。

社会的な背景としても、2024年に改正された障害者差別解消法の施行により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されています。アクセシビリティへの対応は今やコンプライアンスの観点からも企業に求められる取り組みとなっています。さらに高齢化が進む日本社会において、誰でも使えるデジタルサービスの設計は、ビジネス上の競争力にも直結します。この単元ではUI・UX・アクセシビリティの概念の違いを丁寧に整理し、試験での得点力を高めていきます。

くわしく知ろう

UI(User Interface)とは、ボタンや画面レイアウトなどユーザーが直接触れる「接点」そのものを指します。一方、UX(User Experience:ユーザー体験)は、サービスを使う前から使い終わった後まで、利用者が感じるすべての体験を指す、より広い概念です。「画面は美しいが操作がわかりにくい」という状態はUIは優れていてもUXが低い例として知られています。

アクセシビリティとは、障がいのある方や高齢者も含め、誰もが情報やサービスにアクセスできる状態のことです。Webのアクセシビリティ基準としてはWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)が国際標準として用いられており、日本ではJIS X 8341-3として規格化されています。

ユニバーサルデザインは「はじめから誰もが使えるよう設計する」という考え方で、バリアフリーが後から障壁を取り除くことを指すのに対し、最初から多様な利用者を想定して設計する点が異なります。

このほか、ユーザビリティ(使いやすさ)の評価手法としてユーザーテストやヒューリスティック評価が用いられ、実際の利用者の行動を観察することで改善点を見つけていきます。HCD(Human Centered Design:人間中心設計)は、製品・サービスの開発全体を通じてユーザーのニーズを中心に置く設計プロセスです。

具体例で理解する

たとえば、画像に代替テキスト(alt属性)を設定することで、視覚障がいのある方がスクリーンリーダーで内容を把握できるようになります。また、文字サイズを変更できる設定や、色覚特性のある方でも識別しやすいカラーパレットの採用も、アクセシビリティ向上の取り組みとして知られています。最初からこれらを組み込んで設計することがユニバーサルデザインの考え方であり、後から改修するバリアフリーとは設計の出発点が異なります。

試験での出題パターン

【パターン1:UIとUXの違いを問う問題】

「UXの説明として最も適切なものはどれか」という形式で出題されます。UIはボタンや画面など「接点の形状・デザイン」を指し、UXはサービス利用の「前後も含めた体験全体」を指します。「購入後のサポートや再購入の意欲まで含む」という記述があればUX、「画面上のレイアウトやボタンの配置」という記述があればUIと判断できます。

【パターン2:アクセシビリティ関連の規格・概念を問う問題】

「Webアクセシビリティの国際標準ガイドラインとして知られ、日本ではJIS X 8341-3として規格化されているものはどれか」という形式です。WCAG・JIS X 8341-3という対応関係を確実に覚えておきましょう。また「ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い」を問う問題も出題されており、「最初から設計(ユニバーサル)」と「後から除去(バリアフリー)」という違いが出題の核心です。

よくある間違い・紛らわしいポイント

【UIとUXの包含関係の混同】

UIはUXの一部です。つまり「UIがよい=UXがよい」にはなりません。デザインが美しく操作ボタンが整然としていても(UIは優秀)、サービス全体のフローが複雑で手続きが何度も必要なら(UXは低い)という状態は起こり得ます。「UIはUXよりも範囲が狭い概念」という上位・下位の関係を整理しておきましょう。

【ユニバーサルデザインとバリアフリーの混同】

バリアフリーは「既存の製品・環境にある障壁(バリア)を後から除去すること」を指します。ユニバーサルデザインは「設計の段階から、障がいの有無・年齢・文化に関係なく誰でも使えるように作ること」を指します。出発点が「後から」か「最初から」かという点が最大の違いです。試験では「バリアフリー=後付け対応」「ユニバーサルデザイン=最初から設計」として区別します。

【WCAGとJIS X 8341-3の関係】

WCAGはW3C(World Wide Web Consortium)が策定した国際的なWebアクセシビリティのガイドラインです。JIS X 8341-3はそのWCAGを日本の産業規格(JIS)として整備したものです。両者は別の文書ですが、内容は対応しています。「国際標準=WCAG」「日本規格=JIS X 8341-3」という対応を確実に覚えておきましょう。

まとめ・試験ポイント

  • UI=ユーザーとシステムの接点(画面・ボタン等)
  • UX=利用前から利用後まで含めたユーザー体験全体(UIよりも広い概念)
  • アクセシビリティ=誰もが情報・サービスにアクセスできる状態
  • WCAG=Webアクセシビリティの国際基準(日本ではJIS X 8341-3)
  • ユニバーサルデザイン=最初から多様な利用者を想定した設計(バリアフリーは後から障壁を除去)
  • 試験では「UIとUXの違い」「ユニバーサルデザインとバリアフリーの区別」「WCAGの位置づけ」が頻出

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