システム思考・デザイン思考 — 複雑な問題を解くための2つのフレームワーク
導入
良かれと思って作った機能が全く使われなかった、解決策を大量に用意したのに問題が繰り返される——そんな経験はないでしょうか。複雑な問題を解くには「構造」と「ユーザー」の両方を理解する2つの思考法が鍵になります。
くわしく知ろう
システム思考とは、問題を個別の事象として捉えるのではなく、要素間の「つながり」や「フィードバック」の構造として捉える考え方を指します。
フィードバックループには2種類あります。強化ループ(正のフィードバック)は変化が同じ方向に増幅し続けるループです。たとえば利用者が増えるとサービスの評判が高まりさらに利用者が増えるという雪だるま式の拡大がこれにあたります。バランスループ(負のフィードバック)は目標値に向けて変化を抑制し安定させるループです。エアコンが室温を一定に保つ仕組みが典型例です。また、氷山モデルは出来事の裏にある傾向・構造・思考様式を掘り下げることで根本原因に迫る分析手法です。レバレッジポイントとはシステム全体に大きな変化をもたらせる介入点を指します。
デザイン思考は「ユーザーの体験」を起点に問題を解く5ステップのプロセスです。まず共感(Empathize)でインタビューや観察によりユーザーの真のニーズを把握します。感情移入ではなく、現場での事実収集が中心です。次に定義(Define)でHMW(どうすれば〜できるか)という問いを立て、発想(Ideate)でアイデアを広げます。試作(Prototype)では紙のスケッチなど低忠実度のものから始め、テスト(Test)でユーザーから反応を得て次の反復に活かします。
システム思考=構造の解明、デザイン思考=ユーザー体験の改善として使い分けます。2つを組み合わせることで根本原因の特定と実効性ある解決策の設計が可能です。
具体例
社内システムの利用率低下問題を考えてみましょう。システム思考で分析すると、利用率低下→予算削減→機能改善停止→さらに利用率低下という強化ループが見えます。デザイン思考でユーザーインタビューを行うと、真因は「通知が多すぎて業務を妨げている」と判明し、UI改善プロトタイプで検証するという流れになります。
まとめ・試験ポイント
- 強化ループ=変化が同じ方向に増幅する正のフィードバック(雪だるま式拡大・縮小)
- バランスループ=目標値に向けて変化を抑制する負のフィードバック(安定化)
- デザイン思考5ステップ=共感→定義→発想→試作→テスト(この順序で覚える)
- 共感フェーズ=感情移入ではなくインタビュー・観察による事実収集
- プロトタイプ=低忠実度から始めて反復しながら精度を上げる検証ツール
- システム思考=「構造」の解明、デザイン思考=「ユーザー体験」の改善として使い分ける
※本コンテンツは2026年3月公表の改定案 Ver.1.0 に基づく暫定版です
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