ITパスポート試験のシラバスとは
シラバスとは、ITパスポート試験で出題される知識・技術の範囲と用語を定義した文書です。 IPAが公式に公開しており、試験で使われる用語の定義や、出題対象となる概念の深さが明記されています。
ITパスポート試験は、IT技術や社会環境の変化に対応するため、おおむね1〜2年ごとにシラバスが改訂されています。 特に近年はAI・DX・セキュリティ分野の急速な進歩を反映し、新しい用語や概念が継続的に追加されています。 受験勉強では、最新シラバスに対応した教材や過去問を使うことが重要です。
シラバス改訂の全体像(5.0〜6.3)
2021年以降のシラバス改訂を一覧にまとめました。
| バージョン | 適用時期 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| シラバス5.0 | 2021年4月〜 | AI・ビッグデータ・IoT等の第4次産業革命関連を強化 |
| シラバス6.0 | 2022年4月〜 | 擬似言語(疑似プログラム)の追加、プログラミング的思考の強化 |
| シラバス6.1 | 2023年4月〜 | 生成AI・LLM・DX推進関連の用語追加 |
| シラバス6.2 | 2024年4月〜 | セキュリティ分野の強化(ゼロトラスト・SASE等)、クラウドサービスモデルの詳細化 |
| シラバス6.3 | 2024年10月〜 | 最新AI技術動向の反映(プロンプトエンジニアリング・AIガバナンス)、サイバーセキュリティ用語の追加 |
生成AI関連の追加項目(2026年最重要テーマ)
2023〜2024年にかけてのシラバス改訂(6.1〜6.3)で最も大きく変化したのが生成AI関連項目です。 ChatGPTの社会的普及(2022年〜)を受け、生成AIに関する用語と概念が試験範囲に組み込まれました。
シラバス6.1で追加された生成AI用語
- 生成AI(Generative AI):テキスト・画像・音楽・コードなどを自動生成するAI技術。 プロンプト(指示文)を入力すると高品質なコンテンツを生成できます。
- LLM(Large Language Model:大規模言語モデル):大量のテキストデータで学習した言語生成AI。GPT-4・Gemini・Claude等が代表例。
- ハルシネーション(Hallucination):生成AIがもっともらしいが事実と異なる内容を自信を持って出力する現象。 R7年度試験でも出題された重要用語です。
- AIバイアス:学習データに含まれる偏りがAIの判断に悪影響を及ぼす問題。 アノテーションの品質確保や多様なデータ収集が対策として重要です。
シラバス6.3で追加された生成AI用語
- プロンプトエンジニアリング:AIに対する入力(プロンプト)を最適化してより良い出力を得る技術。 生成AIを業務活用する上で重要なスキルとして認識されています。
- AIガバナンス:AIの開発・運用における倫理・リスク管理・説明責任の仕組み。 AIの透明性確保と倫理的利用を企業・社会レベルで推進するための枠組みです。
- 責任あるAI(Responsible AI):公平性・透明性・プライバシー保護・安全性を考慮したAI開発・運用の原則。
生成AI用語は「追加直後」に積極的に出題される傾向があります。
シラバス6.1(2023年4月)追加の「ハルシネーション」はR7年度試験で出題済み。 シラバス6.3(2024年10月)追加の「プロンプトエンジニアリング」「AIガバナンス」は、 今後の試験での出題が増加すると見込まれます。
DX関連の追加項目
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関する用語も、 シラバス6.1以降継続的に強化されています。
- DX推進指標:経済産業省が公開するDX推進の成熟度指標。企業がDXの進捗を自己評価するためのツールです。
- デジタルガバナンス・コード:経済産業省がDX推進に向けて企業に求める行動規範。 「攻め」のIT投資と「守り」のIT投資のバランスが問われます。
- プロセスマイニング:業務システムの操作ログを分析し、実際の業務プロセスを可視化・改善する手法。 R7年度でも出題された重要テーマです。
- ハッカソン:プログラマやデザイナーが集まり、短期間で集中的にプロトタイプを開発するイベント。 DXやイノベーション推進の手法として出題されます。
出題頻度が変化した項目
シラバスから項目が「削除」されることは少ないですが、 時間の経過とともに出題頻度が変化する分野があります。
| 分野・用語 | 傾向 | 背景 |
|---|---|---|
| IoT(モノのインターネット) | 出題数減少傾向 | シラバス5.0で強化されたが、近年は1問程度に落ち着いている |
| ビッグデータ分析 | 出題数やや減少 | 生成AI・AIガバナンスにウェイトが移行している |
| 擬似言語(疑似プログラム) | 毎年安定出題 | シラバス6.0追加後、毎年度コンスタントに出題されている |
| 法律・コンプライアンス | 毎年安定出題 | 個人情報保護法・不正アクセス禁止法・著作権法は例年4問前後出題 |
シラバス変更が試験に与える影響
過去のシラバル改訂と出題データを分析すると、以下のパターンが見えてきます。
- 新規追加用語は追加後1〜2回の試験で積極的に出題される:シラバス6.1(2023年4月)で追加されたハルシネーションは R7年度(2025年)試験で出題されています。 追加から1〜2年が最も出題されやすいタイミングです。
- 古い追加用語は出題頻度が落ち着く:IoTはシラバス5.0(2021年)での強化から4年以上経過し、 出題数はピーク時の半分以下に落ち着いています。
- 法律・会計分野は安定して出題:シラバル変更の影響を受けにくく、毎年度安定した出題数を維持しています。
R7年度の出題傾向の詳細データについては、R7年度出題傾向分析記事もご覧ください。
新出題範囲(生成AI・DX)の対策方法
- 最新シラバス(6.3)を必ず確認する:受験前にIPAの公式サイトで最新シラバスのバージョンを確認し、 受験予定の試験に適用されるシラバスを把握しましょう。
- 生成AI用語を優先的に押さえる:ハルシネーション・プロンプトエンジニアリング・AIガバナンス・LLMなど、 シラバス6.1〜6.3追加の生成AI用語は出題確率が高く、最優先で対策しましょう。
- 「なぜそのルールが必要か」という文脈で覚える:AIガバナンスは「なぜAIに倫理規範が必要か」という文脈で理解すると 応用問題でも対応できます。
- 最新シラバス対応の問題で練習する:PassDojoでは令和5〜7年度の公開問題を無料で解けます。 最新シラバル対応の問題で、新出題範囲の出題形式を体感しましょう。
- IoT・ビッグデータの深追いを避ける:出題頻度が落ち着いている分野に過度な時間をかけず、 生成AI・セキュリティ・DX関連に学習リソースを集中させましょう。
2026年版 最重要用語一覧
シラバス5.0〜6.3で追加・強化された用語のうち、特に出題可能性が高いものをまとめました。
| 用語 | 追加シラバス | 分野 | 説明 | 出題状況 |
|---|---|---|---|---|
| 生成AI(Generative AI) | シラバス6.1 | テクノロジ系 | テキスト・画像・コードなどを自動生成するAI技術 | R7年度で複数出題 |
| LLM(大規模言語モデル) | シラバス6.1 | テクノロジ系 | 大量のテキストデータで学習した言語生成AI。GPT等が代表例 | R7年度で出題 |
| ハルシネーション | シラバス6.1 | テクノロジ系 | 生成AIがもっともらしいが事実と異なる内容を出力する現象 | R7年度で出題 |
| プロンプトエンジニアリング | シラバス6.3 | テクノロジ系 | AIに対する入力(プロンプト)を最適化する技術・手法 | 今後出題増加が見込まれる |
| AIガバナンス | シラバス6.3 | ストラテジ系 | AIの開発・運用における倫理・リスク管理の仕組み | 今後出題増加が見込まれる |
| ゼロトラスト | シラバス6.2 | テクノロジ系 | 「すべてを信頼しない」前提でアクセスを検証するセキュリティモデル | R7年度で出題 |
| SASE(サシー) | シラバス6.2 | テクノロジ系 | ネットワークとセキュリティ機能をクラウドで統合したアーキテクチャ | 出題増加傾向 |
| DX推進指標 | シラバス6.1 | ストラテジ系 | 経済産業省が公開するデジタルトランスフォーメーション推進の成熟度指標 | R7年度で出題 |
| 擬似言語(疑似プログラム) | シラバス6.0 | テクノロジ系 | アルゴリズムを記述するための仮想的なプログラム記法 | 毎年出題 |
| IaC(Infrastructure as Code) | シラバス6.2 | テクノロジ系 | インフラ構成をコードで管理・自動化する手法 | 出題あり |
| クラウドネイティブ | シラバス6.2 | テクノロジ系 | クラウドの特性を最大限に活用した設計・開発アプローチ | 出題あり |
| サプライチェーン攻撃 | シラバス6.3 | テクノロジ系 | ソフトウェアや部品の供給ルートに侵入するサイバー攻撃手法 | 今後出題が見込まれる |
| プロセスマイニング | シラバス6.2 | マネジメント系 | 業務ログを分析して業務プロセスを可視化・改善する手法 | R7年度で出題 |
| アクセシビリティ(IT) | シラバス5.0 | テクノロジ系 | 高齢者や障害者を含む幅広い人々がITを利用できるよう配慮した設計 | R7年度で出題 |
分野ごとの効率的な学習法については、ITパスポート勉強法ガイドも併せてご覧ください。 合格率の推移との相関については、合格率の推移のデータも参考になります。
よくある質問
現在のITパスポートシラバスのバージョンは何ですか?
2026年4月時点の最新シラバスはシラバス6.3(2024年10月適用)です。 プロンプトエンジニアリング・AIガバナンス・サプライチェーン攻撃などが新たに追加されています。
シラバス変更で削除された用語はありますか?
シラバル改訂では用語の削除よりも追加・強化が中心です。 ただし、シラバス5.0で強化されたIoT関連用語は出題頻度が落ち着いており、 最新の出題優先度は相対的に下がっています。
2026年中にシラバスが変更される予定はありますか?
2026年中のシラバス変更は現時点(2026年4月)では予定が発表されていません。 IPAは1〜2年周期で改訂を行う傾向があり、次回改訂は近い将来に行われる可能性があります。 最新情報はIPAの公式サイト(https://www3.jitec.ipa.go.jp/)で確認してください。
※ 本記事のシラバス変更情報はIPAが公開しているITパスポート試験のシラバル改訂情報に基づいています。 出題への影響に関する記述は公開問題のデータ分析に基づく独自見解であり、 IPAが公式に示すものではありません。 最新のシラバスおよび出題範囲はIPAの公式サイト(https://www3.jitec.ipa.go.jp/)でご確認ください。