プロジェクト管理の基本 — WBS・PERT図・クリティカルパス計算
導入
システム開発の現場では、「このままでは納期に間に合わない」という危機はどこから始まるのでしょうか。実は、遅れが許されないタスクを見誤ることが最大の原因です。その鍵となる考え方がクリティカルパスです。
くわしく知ろう
プロジェクト管理では、まず全体の作業を細かく分解します。この手法をWBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造)と呼びます。WBSでは最終成果物を階層的に分割し、これ以上分けられない最小単位の作業を「ワークパッケージ」として定義します。担当者・工数・期間の見積もりが可能な実施単位です。
WBSで洗い出した各作業(アクティビティ)には依存関係があります。「設計が完了してから実装を始める」「テスト環境の構築と詳細設計は並行できる」といった関係をネットワーク図で表したものがPERT図です。ガントチャートがスケジュールをバー形式で表示するのに対し、PERT図は依存関係の把握に特化しています。
プロジェクト全体の所要日数は、全経路のうち最も日数のかかる経路によって決まります。この最長経路を「クリティカルパス」と呼びます。クリティカルパス上のアクティビティは1日でも遅延するとプロジェクト全体が遅れるため、重点管理の対象となります。
クリティカルパス以外の経路には余裕があり、これを「フロート(余裕時間)」と呼びます。フロートは「最遅開始時刻-最早開始時刻」で求められ、クリティカルパス上ではフロートが 0 になります。進捗を定量的に把握する手法としてEVM(アーンドバリュー管理)があり、計画価値(PV)・出来高(EV)・実コスト(AC)を比較して健全性を評価します。
具体例
たとえば、経路1「A(3日)→C(2日)→E(4日)」は合計9日、経路2「A(3日)→B(5日)→D(2日)」は合計10日とします。クリティカルパスは経路2の10日で、アクティビティBのフロートは0です。一方Cのフロートは10-9=1日となり、1日遅延しても全体に影響しません。
まとめ・試験ポイント
- WBS=作業を階層的に分解する手法。最小単位はワークパッケージ
- PERT図=アクティビティの依存関係をネットワーク図で表現(ガントチャートはスケジュール表示・依存関係は示さない)
- クリティカルパス=全経路中の最長経路。ここが遅延するとプロジェクト全体が遅延する
- フロート=最遅開始時刻-最早開始時刻。クリティカルパス上はフロート=0
- EVM=PV・EV・ACを使ってスケジュールとコストの効率を定量評価する手法
- 試験ではクリティカルパスの日数計算が頻出。全経路を列挙して合計し、最長を選ぶ手順を押さえること
学習した内容を試験形式で確認しよう。ITパスポート入門試験100問に挑戦できます。
入門試験100問に挑戦する