科目Bとは?事例で「応用力」を問う科目
データマネジメント試験(仮称)は、科目A(多肢選択式・48問想定)と科目B(事例ベース・12問想定)の2科目で構成されると見込まれています。 このうち科目Bは、ある企業のデータにまつわる状況を描いた長文シナリオを読み、 文中や表の空欄を穴埋めする組合せ問題が想定されています。
科目Aが「知識そのもの」を問うのに対し、科目Bが問うのは「その知識を現場でどう使い分けるか」という応用力です。 2026年6月22日に公開されたサンプル問題(科目B・2問)を見ても、 データオーナーシップのルールや、データ統合の実務がまるごと題材になっており、暗記だけでは解けない作りになっています。 試験の全体像はデータマネジメント試験とは?概要記事を、サンプル問題の全体解説はサンプル問題 徹底解説をご覧ください。
この記事の教材について
以下では、IPA公式のサンプル問題(科目B)を教材に解き方を解説します。 著作権に配慮し、問題文はそのまま転載せず、状況と解法をPassDojo編集部が 要約・再構成しています。原文は必ずIPA公式サイトのPDFでご確認ください。
事例問題を解く5つの読解ステップ
事例問題は情報量が多く、行き当たりばったりで読むと迷子になります。 そこで、どんなシナリオにも使える5つの読解ステップを先に押さえましょう。 このあと、実際のサンプル問題でこのステップを使ってみます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ① 登場人物と役割を洗い出す | どの部門・担当者が出てくるか、それぞれの立場(オーナー/活用者/基盤運用)を書き出す。 |
| ② ルール・原則を押さえる | シナリオ中に示された「その組織のルール」や、データマネジメントの原則を確認する。 |
| ③ 事実(データの状態)を整理 | 表やデータの仕様から、型・制約・NULLの有無など「客観的な事実」を拾う。 |
| ④ 本質課題を1つに絞る | 目立つ不具合ではなく「これが解けないと目的を達成できない」核心を特定する。 |
| ⑤ ルールを空欄に当てはめる | ①〜④を踏まえ、各空欄に入る主体・対応をルールから機械的に導く。 |
サンプル問1で練習:責任主体を判断する
1問目のシナリオを要約します。全社データ基盤を持つA社では、「最初にデータを生成した部門がデータオーナー」、「加工して新しいデータを作った部門が、その成果物のオーナー」といったデータ活用ルールが定められています。 マーケティング部のBさんが、営業部由来の「商談確度」データに 品質の乱れ(定義にない値や未入力)を発見し、品質改善の4つのアクションを計画する—— という設定です。
ステップ①②:登場人物とルールを押さえる
まず登場人物は、営業部(商談確度データの元オーナー)、マーケティング部(データの活用者、Bさんの所属)、データ基盤チーム(データカタログ“システム”の稼働維持を担当)の3者。 ルールの核心は次の3点です。
- データの品質・意味に責任を負うのは、そのデータのオーナー。加工せず連携しただけなら、元の生成部門がオーナーのまま。
- 加工して独自のレポートを作ったら、作った部門がその成果物のオーナーになる。
- データカタログは、「システムの稼働維持」はデータ基盤チームが担うが、 「各データの意味の記述内容の登録・更新・削除」はそのデータのオーナーが担う。
特に3点目が、この問題で最大のワナです。「カタログのことだから何でもデータ基盤チーム」 と早合点しがちですが、意味欄(データの意味の説明)の更新はデータオーナーの仕事。 データ基盤チームが担うのは、あくまでカタログという“システム”を動かし続けることだけ、という切り分けを押さえましょう。
ステップ⑤:4つの空欄にルールを当てはめる
この2つのルールを、4つのアクションに機械的に当てはめます。
| アクション | 責任主体 | 理由 |
|---|---|---|
| ① 品質問題を報告する先 | 営業部 | 元データのオーナーが品質に責任を負うため |
| ② 独自加工したレポートの説明責任 | マーケティング部 | 加工して成果物を作った部門が新たなオーナーになるため |
| ③ 恒久対策の主導 | 営業部 | 元データの品質は元オーナーの責任範囲だから |
| ④ カタログの意味欄の更新 | 営業部 | 意味(データの説明)の登録・更新はデータオーナーの責任。商談確度は加工なしの連携データなので オーナーは一貫して営業部。データ基盤チームが担うのはカタログ“システム”の稼働維持のみ |
ポイントは、「Bさんが見つけたのだからマーケティング部が全部やる」 と考えてしまわないこと。発見者と責任者は別です。 そしてもう一つの落とし穴が④の意味欄更新。 「カタログの更新だからデータ基盤チーム」と考えると、 IPAが誤答の選択肢として用意したワナにはまります。 ルールに立ち返れば、4つのアクションの責任は元オーナーの営業部(報告先・恒久対策・意味欄更新)と加工者のマーケティング部(独自レポートの説明責任)に振り分けられ、 データ基盤チームはカタログ“システム”の維持に徹するため、 4アクションのいずれの主体にもなりません。 IPAが公表した出題趣旨(要約)でも、データ品質問題を発見してからの一連の対応プロセス (報告・暫定対応・恒久対策・メタデータ管理)において、組織のデータマネジメントルールに基づき 責任主体を正しく判断する力を問うものとされています。 感覚ではなくルール参照で解くのが鉄則です。
サンプル問2で練習:技術課題と本質課題を切り分ける
2問目のシナリオを要約します。ECサイトと実店舗の顧客データを統合したいC社。 担当のDさんがデータを調べると、顧客IDの型が両者で違う(EC=数値型/店舗=文字列型)、 電話番号の形式もバラバラ、メールアドレスには未入力(NULL)が混じっている—— という「データ統合あるある」の状況です。 経営陣からは「チャネル横断で優良顧客を特定するレポートを至急作れ」と要求されています。
ステップ③④:事実を整理し、本質課題を絞る
データの事実を整理すると、次のことが分かります。
- 顧客IDは両チャネルとも「一意」だが、チャネルごとに別体系。 同じ人でもEC側とデータ店舗側でIDが違う。
- 電話番号は両チャネルとも入力済み・一意。 ただし形式(ハイフンの有無)が違うだけ。
- メールアドレスは店舗側に未入力(NULL)が混じるため、 全件の突き合わせには使えない。
ここで飛びつきたくなるのが「電話番号の形式がバラバラ」という目立つ技術的不具合です。しかしそれは整形すれば済む話。 本当の困りごとは、「各チャネルの顧客IDが、チャネルをまたいで同じ人を指す“共通のキー”として 機能しないこと」です。これが解けない限り、 どれだけデータをきれいにしても優良顧客は特定できません。 これが本質課題です。
ステップ⑤:現実的な暫定対応を選ぶ
本質課題(共通キーの不在)を踏まえ、至急のビジネス要求に応える現実解を選びます。 候補を絞ると——
- 顧客IDをそのまま結合キーにする→ チャネルで別体系なので突き合わない。❌
- メールアドレスをキーにする→ 店舗側にNULLがあり全件は結べない。❌
- 電話番号を整形してキーにする→ 両チャネルで入力済み・一意。形式を揃えれば突き合わせ可能。⭕(暫定解)
つまり、恒久的には「共通顧客IDの整備」が必要だと理解したうえで、今あるデータで最も確実に突き合わせられる電話番号を暫定キーにするのが正解の流れです。IPAが公表した出題趣旨(要約)でも、データカタログの情報と実データの調査結果を適切に解釈し、 表面的な技術課題と、より本質的なガバナンス上の課題を切り分ける力、 そしてその状況でビジネス要求に応える現実的な暫定対応を選ぶ力を問うものとされています。「本質は何か」と「今できる現実解は何か」を分けて考えるのが科目Bの典型パターンです。
科目Bで問われる3つの思考パターン
2問を解いてみると、科目Bが繰り返し問う「思考のクセ」が見えてきます。 この3つを意識するだけで、初見の事例でも動じにくくなります。
| 思考パターン | ねらい |
|---|---|
| 発見者 ≠ 責任者 | 問題を見つけた人と、対応する責任を負う人は別。ルールに基づいて役割を割り当てる。 |
| 本質 ≠ 表面 | 目立つ不具合に飛びつかず、「目的達成を阻む核心」を見抜く。 |
| 理想 ≠ 現実解 | 恒久対策(あるべき姿)と、今すぐできる暫定対応を分けて選ぶ。 |
ITパスポート・情報セキュリティ試験の経験が活きる
「事例問題は苦手」と感じる方も、実はITパスポートや情報セキュリティマネジメント試験の科目Bで 似た形式を経験しているはずです。これらも「状況を整理し、ルールや原則を当てはめて答える」形式であり、 データマネジメント試験の科目Bと発想は共通しています。
長文を読んで条件を整理する練習、 「もっともらしいが原則からずれた選択肢」を切る練習は、そのまま流用できます。 ITパスポートの科目B演習で読解の型を作りたい方はITパスポート模擬試験、 事例問題の考え方に慣れたい方は情報セキュリティマネジメント試験の比較記事も参考になります。
科目Bの読解ステップを、予想模試で体に覚えさせよう
サンプル問題は2問だけ。読解ステップを本当に使えるようにするには、数をこなして事例に慣れるのが一番の近道です。 PassDojoのデータマネジメント試験 予想模試(全60問)には 科目B形式の事例問題も含まれています。この記事の5ステップを実際に当てはめながら、 解答スピードと着眼点を鍛えましょう。
まとめ
データマネジメント試験 科目Bの事例問題を、サンプル問題を教材に攻略しました。 最後に、科目Bを解くうえでの要点を整理します。
- 科目Bは応用力の科目:長文シナリオを読み、知識を事例に当てはめて判断する。暗記だけでは解けない。
- 5つの読解ステップ:登場人物と役割 → ルール・原則 → 事実の整理 → 本質課題を絞る → 空欄に当てはめる。
- 3つの思考パターン:「発見者≠責任者」「本質≠表面」「理想≠現実解」を意識する。
- 演習量が鍵:ITパスポート等の科目B経験を活かしつつ、予想模試で事例に数多く触れる。
科目Bは、正しい読み方さえ身につければ「安定して得点できる科目」に変わります。 まずはサンプル問題の全体解説で出題傾向をつかみ、予想模試で 読解ステップを実戦練習してみてください。
よくある質問
データマネジメント試験の科目Bはどんな形式ですか?
科目Bは、ある企業のデータにまつわる状況を描いた長文シナリオを読み、 複数の空欄を穴埋めする組合せ問題が想定されています。本番では12問程度とされ、 知識そのものよりも、知識を事例に当てはめて判断する応用力が問われます。 サンプル問題では、データオーナーシップのルール適用や、 データ統合における課題の切り分けが題材になっていました。
科目Bを解くコツはありますか?
「登場人物と役割」「その組織のルール・原則」「本当に困っていること(本質課題)」 の3点を先に整理するのがコツです。目立つ技術的な不具合に飛びつかず、 シナリオに書かれたルールを機械的に当てはめると、正解の組合せを絞り込めます。 発見者と責任者を混同しないこと、恒久対策と暫定対応を分けて考えることも重要です。
ITパスポートの科目B対策は役立ちますか?
役立ちます。ITパスポートや情報セキュリティマネジメント試験の科目Bも、 状況を整理してルールや原則を当てはめる形式です。 長文を読み解いて条件を整理する練習は、 データマネジメント試験の科目Bにそのまま活きます。 事例問題そのものに慣れておくことが、科目B攻略の近道です。
※ 本記事は、IPAが2026年6月22日に公開したデータマネジメント試験(仮称)の サンプル問題(科目B)に基づき、PassDojo編集部が事例の状況と解法を 要約・再構成して解説したものです。問題文の原文はIPA公式PDFに帰属します (©2026 独立行政法人情報処理推進機構)。正確な問題内容は必ずIPA公式サイトでご確認ください。サンプル問題はIPAにより「実際の試験と同様の作問・チェックの プロセスを経たものではない」と注記されています。試験制度・出題範囲・問題数は シラバス公開後に変更される可能性があり、本記事は最新情報の公開に応じて更新予定です。