生成AIパスポート試験とは
生成AIパスポート試験は、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA: Association to Generalize Utilization of Generative AI)が実施する民間資格試験です。生成AIに関する基礎知識と、それを安全に活用するためのリテラシーを測定することを目的としており、「AIを開発する人」ではなく「AIを業務や日常で使うすべての人」を対象にしている点が最大の特徴です。
ChatGPTをはじめとする生成AIサービスが業務に浸透する一方で、機密情報の入力・著作権侵害・ハルシネーション(もっともらしい誤情報)といったリスクへの理解が追いついていない——そんな課題意識に応える「生成AI活用の運転免許証」的な位置づけの試験として、企業のDX推進部門や人材育成部門からの注目度が高まっています。
主催団体(一般社団法人生成AI活用普及協会 / GUGA)
一般社団法人生成AI活用普及協会は、生成AIの適切な活用推進を目的として2023年5月に設立された団体です。生成AIブームの本格化とほぼ同時期に立ち上がった新しい団体ですが、生成AIパスポート試験の実施を中心に、企業向けの人材育成支援などの活動を展開しています。
試験の公式情報は同協会のウェブサイト(https://guga.or.jp/outline/)で公開されており、受験申込・試験日程・シラバスのダウンロードもこちらから行えます。
試験概要(60問・60分・オンラインIBT・年5回)
生成AIパスポート試験の主な仕様は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA) |
| 出題形式 | 四肢択一式(一部複数選択を含む)・60問 |
| 試験時間 | 60分 |
| 実施方式 | オンラインIBT方式(自宅等のPCで受験) |
| 実施回数 | 年5回(2月・4月・6月・8月・10月) |
| 受験資格 | 制限なし(誰でも受験可能) |
| 受験料 | 一般 11,000円 / 学生 5,500円(税込) |
| 合格基準 | 非公表 |
オンラインIBT方式のため、テストセンターに出向く必要がなく、自宅のパソコンから受験できます。60問を60分で解くため、1問あたり平均1分というテンポの速さには注意が必要です。知識問題が中心とはいえ、迷った問題に時間をかけすぎない時間配分の練習をしておくと安心です。
なお、合格基準(合格ライン)は公式には公表されていません。「何割取れば合格」という明確な目標を立てにくいぶん、全章をバランスよく学習し、余裕を持った正答率を目指す姿勢が重要になります。
受験者規模の拡大(累計受験者14万人突破)
生成AIパスポート試験は2023年の開始以降、受験者数を急速に伸ばしており、協会の発表(2026年9月18日)によれば2026年8月時点で累計受験者数は148,487名と、14万人を突破しています。生成AI系の資格としては国内最大級の受験者規模であり、企業単位での団体受験・社員教育への組み込みが受験者増をけん引しています。
「生成AIを使えること」が特別なスキルから前提スキルへと変わりつつあるなかで、その基礎リテラシーを客観的に証明できる手段として、今後も受験者の増加が見込まれます。
出題範囲:シラバス5章の内容をわかりやすく解説
生成AIパスポート試験の出題範囲は、GUGAが公表するシラバスで定義されています。シラバスは5章構成で、AIの基礎から生成AIの技術・動向、リテラシー・倫理、そして実践的なプロンプト制作までを段階的にカバーします。
なお、シラバスは生成AI分野の変化の速さを踏まえて年1回以上改訂される方針がとられており、2025年10月改訂版のシラバスが2026年2月試験から適用されています。次回は2027年2月試験から新シラバスに切り替わる予定です(公式サイトで最新のシラバスを確認してください)。学習の際は「いつ時点のシラバスに対応した教材か」を必ず確認してください。
第1章: AI(人工知能)
AIの定義・歴史(AIブームの変遷)、機械学習・ディープラーニングの基本概念など、AI全般の基礎知識を扱う章です。「教師あり学習と教師なし学習の違い」「ニューラルネットワークとは何か」といった、生成AIを理解する前提となる土台の知識が問われます。
ITパスポート試験やG検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)のAI分野と重なる内容が多く、これらの試験の学習経験がある方はスムーズに入れる章です。逆にAIをまったく学んだことがない方は、この章を丁寧に固めることが後続の章の理解を大きく助けます。
第2章: 生成AI(ジェネレーティブAI)
生成AIを支えるモデル構造の系譜を扱う章です。VAE(変分自己符号化器)・GAN(敵対的生成ネットワーク)・RNN・LSTMといった生成モデルの発展の歴史から、現在の生成AIの中核であるTransformerモデルまでを、数式ではなく概念レベルで学びます。そのうえで、GPT-1からGPT-5に至るChatGPT・GPTモデルの歴史と仕組み、さらにGemini・Claude・Copilotといった主要サービスの技術基礎までがカバーされます。
普段からChatGPTなどを使っている方でも、「使える」ことと「モデルの系譜を説明できる」ことは別物です。パラメータ・ファインチューニング・ハルシネーションといった用語を自分の言葉で説明できるかを確認しながら学習しましょう。
第3章: 現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向
テキスト・画像・音楽・音声・動画というモダリティ(生成物の種類)別に、いま利用できる生成AIサービスと実現できることを整理する章です。あわせて、ディープフェイク(深層偽造)技術の危険性、RAG(Retrieval-Augmented Generation: 検索拡張生成)の仕組み・ユースケース、AIエージェントの概要とMCPによる外部連携までを扱います。
特にRAGとAIエージェントは、2025年10月のシラバス改訂で新たに追加された今回の改訂の目玉トピックです。シラバスが年1回以上改訂されるのは主にこの章の鮮度を保つためで、試験対策としては最新版シラバス対応の教材で学ぶことが特に重要な章といえます。生成AI業界の全体像を体系的に押さえたい方は、当サイトの生成AIトレンド総まとめ 2026年前半もあわせてご覧ください。
第4章: 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則
情報セキュリティ、個人情報・機密情報の取り扱い、著作権、AI社会原則(人間中心のAI社会原則等)など、生成AIを安全に活用するためのリテラシーと倫理を扱う章です。2025年10月のシラバス改訂では、2025年6月4日に公布されたAI新法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)に関する学習項目が新たに追加されました。
企業が社員に生成AIパスポート試験を受験させる最大の動機がこの章にあります。「業務データをプロンプトに入力してよいか」「生成物の著作権はどうなるか」「ハルシネーションにどう向き合うか」——実務でそのまま直面する論点が並ぶため、暗記ではなく「自分の職場ならどう判断するか」を考えながら学ぶと定着しやすい分野です。
第5章: テキスト生成AIのプロンプト制作と実例
LM(言語モデル)・LLM(大規模言語モデル)の定義から始まり、プロンプトエンジニアリングの基本と業務での活用実例までを扱う実践的な章です。Zero-Shotプロンプティングや Few-Shotプロンプティングといった技法の型に加え、文章の校正・要約からメール作成・アンケート分析まで、幅広いビジネス応用例が学習項目に並びます。あわせて、正確な文字数の指定・計算・最新情報の取得といった「テキスト生成AIの不得意なこと」を理解することも、この章の重要な学習目標です。
この章は日頃から生成AIを使っている方には得点源になりやすい一方、「なんとなく使っている」だけでは体系的な設問に対応しにくい面もあります。プロンプトの構成要素(Instruction・Context・Input Data・Output Indicator)を言語化して整理しておくことが対策の近道です。
生成AIパスポート試験の難易度・合格率の詳細(直近の合格率推移やつまずきやすいポイント)は、生成AIパスポート試験の難易度は?合格率・勉強時間を解説で詳しく整理しています。直近の2026年8月試験の合格率は81.21%でした。
勉強法・学習時間の目安(公式テキストの発行元変更を含む最新情報)は、生成AIパスポート試験の勉強法|学習時間と教材の選び方で詳しく解説しています。
生成AIパスポート試験の独自性は、ITパスポート試験・データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)・G検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)などの入門系資格と異なり、「生成AIの活用リテラシー」に特化している点です。他資格との詳しい比較・併願戦略は、生成AIパスポート試験とG検定はどう違う?難易度で比較で整理しています。
PassDojoのオリジナル問題集で対策する
当サイトでは、生成AIパスポート試験の公表シラバス(2025年10月改訂版)に基づいて独自に作成したオリジナル問題集を公開しています。
- シラバス全5章・60問を収録済み: 2025年10月改訂版シラバスの章構成に準拠
- 一問一答+詳しい解説: 正解の根拠だけでなく、誤答選択肢がなぜ誤りかまで解説
- ブラウザだけで演習可能: 会員登録なしで無料問題をすぐに試せます
なお、本問題集は公式過去問ではなく、当サイトが独自に作成したオリジナル問題です。実試験の合格基準は非公表のため、問題集の合否判定はあくまで練習用の目安としてご利用ください。
生成AIパスポート試験の対策をPassDojoで始める
公表シラバスに基づくオリジナル問題集で、テキスト学習の理解度をチェックしましょう。スマホからスキマ時間に演習できます。
まとめ:生成AIパスポート試験が向いている人
ここまで生成AIパスポート試験について、試験概要とシラバス5章の内容を解説してきました。難易度・合格率、勉強法・学習時間の目安、ITパスポート試験等との比較の詳細は、それぞれの専用記事でご案内しています。最後に、受験判断の参考として向き・不向きを整理します。
生成AIパスポート試験が向いている人は次のような方です。職場で生成AIの活用を推進する立場にあり、リテラシーを客観的に証明したいDX推進・情報システム・人材育成の担当者。生成AIを使い始めたものの、セキュリティや著作権の不安を体系的に解消したいビジネスパーソン。ITパスポート試験に合格しており、次の一歩として生成AI分野の知識を上乗せしたい方。就職・転職活動で「生成AIを安全に使える人材」であることをアピールしたい学生・若手社会人。
一方、注意が必要な人もいます。機械学習モデルの開発やプログラミングのスキルを証明したい方には、この試験は適していません(エンジニアリング系の資格や実績のほうが直接的です)。また、AIの理論を深く学びたい方はG検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)、統計・データ分析を学びたい方はデータサイエンティスト検定(リテラシーレベル)のほうがニーズに合致します。
生成AIが「使えて当たり前」になっていく時代に、その基礎リテラシーを早期に証明しておく価値は今後ますます高まると考えられます。過去問を探している方は生成AIパスポート試験の過去問は非公開|代わりの対策法、次回の試験日程を確認したい方は生成AIパスポート試験の試験日はいつ?日程・申込・受験料をご覧ください。まずはオリジナル問題集で現在の実力を確かめるところから始めてみてください。
よくある質問
生成AIパスポート試験とITパスポート試験はどちらを先に受けるべきですか?
IT全般の基礎から固めたい方はITパスポート試験(国家試験)を先に、生成AIの活用リテラシーを今すぐ証明したい方は生成AIパスポート試験を先に受けるのが一般的な考え方です。ITパスポート試験の学習内容(AI基礎・セキュリティ)は生成AIパスポート試験の第1章・第4章と重なるため、先にITパスポート試験に合格しておくと生成AIパスポート試験の学習負荷を減らせます。
生成AIパスポート試験のシラバスはいつ改訂されますか?
シラバスは毎年2月を基本に年1回以上改訂される方針が取られています。直近では2025年10月改訂版が2026年2月試験から適用されており、次回は2027年2月試験から新シラバスに切り替わる予定です。改訂時には有資格者向けに「資格更新テスト」(動画視聴3時間程度+チェックテスト10問、受講費用6,600円・学生3,300円)が実施されます。最新のシラバスは一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)の公式サイトでご確認ください。
【出典】一般社団法人生成AI活用普及協会「生成AIパスポート試験 開催概要」(https://guga.or.jp/outline/)ほか同協会公表情報。本記事の数値情報(合格率・受験者数・受験料等)は同協会の公表データに基づく2026年10月時点の情報です。当サイトは同協会とは無関係の非公式サイトであり、受験申込・最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。