【注意】省令案に基づく記事です。
本記事の試験名称は、2026年10月16日に経済産業省が公表した省令案(意見募集は2026年11月14日まで)に基づきます。公布前のため変更される可能性があります。IPA公式サイトは2026年10月31日時点で旧称「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」の表記です。シラバス案・サンプル問題はいずれも「案」であり、正式シラバスの公表までに内容が変更される可能性があります。
科目Bサンプル問題の公表状況
マネジメントとシステムの科目Bサンプル問題は、2026年8月31日に新試験制度のサンプル問題についてのIPAページで公表されました。PDFはマネジメント(11ページ)とシステム(全19ページ)に分かれ、解答例と出題趣旨が付いています。データ・AI区分は2026年10月30日の公表で、高度情報技術データ・AI試験の科目Bサンプル問題6問の解説で扱っています。
出典:プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)科目B サンプル問題/プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称)科目B サンプル問題(IPA、2026年8月31日公表。旧称表記はIPA公表物の名称)
IPAは留意事項として「本サンプル問題は、新たな出題分野、出題形式のイメージを共有するために作成、公表するものであり、実際の試験と同様の問題作成やチェックのプロセスを経たものではありません」と述べています。難易度や配点の目安ではなく、分野と形式のイメージとして読みましょう。
また、科目Bの出題数は12問の予定です(2026年3月公表の検討状況に基づく予定値で、変更の可能性があります)。サンプルはマネジメント4問・システム6問とそれより少なく、本試験1回分ではありません。本記事は問題文や選択肢を転載せず、要約と独自の解説にとどめます。名称の経緯は高度情報技術試験の名称の経緯をご覧ください。
高度情報技術マネジメント試験 科目Bサンプル問題4問の全体像
出題趣旨では、戦略立案、サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、ガバナンス・監査の各状況でDXを推進する能力を評価します。
| 問番号 | 題材 | 正解 | 評価する能力 |
|---|---|---|---|
| 問1 | 地域MaaSのワンストップサービス | エ | デジタル戦略の企画・推進 |
| 問2 | 販売サービスのインシデント管理・問題管理 | エ | サービスマネジメント |
| 問3 | SaaSの機能追加プロジェクト | カ | スコープ定義 |
| 問4 | AIチャットボット導入のシステム監査 | ウ | 監査要点の整理 |
表:PassDojo編集部が整理。出題範囲は高度情報技術マネジメント試験の出題範囲の解説も参照してください。
高度情報技術マネジメント試験 問1〜問4の題材と考え方
問1 地域MaaSの企画(正解エ)
題材:Z県が設立した一般社団法人Yが、共通APIで鉄道・バス・観光施設の検索から決済までをワンストップで提供する地域MaaSの事例です。
問われていること:Y法人が実現しようとしている内容を三つ挙げた組合せです。
正解と考え方:正解は、既存サービス同士の連携、予約から決済までの接点の接続、顧客体験価値の創出を挙げた組合せです。本文は既存システムの独立性を保つと述べており、垂直統合は不適切です。事業者の業務改革や効率化は、Yが目指す内容と別の論点です。
対策ポイント:「目的」と「手段」を分けて読むと紛らわしい選択肢を外せます。
問2 インシデント管理と問題管理(正解エ)
題材:K社情報システム部のサービスデスクが、既知の誤りを調べて回避策を探し、見つからなければ開発課へエスカレーションします。G課長の分析では、前月100件のうち30件がエスカレーションされ、15件は開発課が問題管理ファイルから回避策を見つけていました。
問われていること:解決連絡の相手と、改善課題を調べるべき活動です。
正解と考え方:連絡先は申告者である利用者で、サービスが使えることを確認してもらいます。課題は「既知の誤りの調査」です。開発課が既存の記録から見つけた15件は、サービスデスクでも見つけられた可能性があるためです。エスカレーションは調査で見つからなかった結果であり、課題はその手前にあります。
対策ポイント:件数の流れを手順表と対応づけて追いましょう。
問3 機能追加プロジェクトのスコープ(正解カ)
題材:資金繰りが悪化したSaaS事業者A社が、予算内で顧客要望を実現しつつ資金繰りも改善する進め方を考えます。要望の種類で開発費の回収方法が異なります。
問われていること:二つの条件を満たす進め方を二つ挙げた組合せです。
正解と考え方:正解は、費用負担で合意済みの大口顧客の要望を先に実現することと、要件定義の段階から顧客に加わってもらい要望との適合を確かめることです。前者は開発費を早く回収でき、後者は認識誤りによるリリース中止を防ぎます。少数の利用意向しかない要望の優先や、利用者が少ないと分かった開発の続行は不利です。運用訓練の延長は発見が後工程になり、根本対策になりません。
対策ポイント:条件を抜き出し、各選択肢がどれを満たすか確認します。
問4 AIチャットボット導入の監査(正解ウ)
題材:B社コールセンターのAIチャットボット導入計画で、想定リスク5件と監査要点5件が示されます。
問われていること:監査部長が見直しを指示した監査要点の項番です。
正解と考え方:正解は項番(3)です。想定リスクは、要求品質のデータを準備して学習させ、結果を評価しないことで不適切な回答を生成するというものでした。監査要点は準備する計画かどうかしか問うておらず、学習結果の評価が抜けています。(1)(2)(4)(5)は対応するリスクを押さえています。
対策ポイント:リスクと監査要点を一対一で突き合わせ、欠けを探します。
類題は高度情報技術マネジメント試験の想定問題集で練習できます。
高度情報技術システム試験 科目Bサンプル問題6問の全体像
出題趣旨では、各デジタル技術の特性を踏まえ、システムやネットワークを設計・実装する技能を評価するとされています。
| 問番号 | 題材 | 正解 | 評価する能力 |
|---|---|---|---|
| 問1 | 不動産売買仲介システムのダッシュボード機能 | エ | 機能要件の定義 |
| 問2 | ECサイトの無停止更新 | イ | クラウド基盤の運用設計と検証 |
| 問3 | 橋梁点検IoTシステム | キ | IoTのアーキテクチャ設計 |
| 問4 | リアルタイムWebシステムのWebSocket通信 | ア | 通信プロトコルの仕様理解 |
| 問5 | トマト自動収穫ロボット | ア | ハードを考慮したソフトウェア設計 |
| 問6 | スクラムによるアジャイル開発 | オ | チーム協働と自律的な開発 |
表:PassDojo編集部が整理。
高度情報技術システム試験 問1〜問6の題材と考え方
問1 ダッシュボードの機能要件(正解エ)
題材:不動産会社A社が売買仲介システムを刷新し、ダッシュボードを導入します。マネージャには「現在の業務で確認している営業担当者ごとの情報」を表示します。
問われていること:その下線部に当たる情報だけを全て挙げた組合せです。
正解と考え方:正解は、媒介契約数と各物件の物件ステータスの値の推移です。本文でマネージャが担当者ごとに日々確認しているのはこの二つです。部門全体の推移や問合せ件数などは担当者ごとの情報ではなく、成約率は営業担当者が確認すると書かれています。
対策ポイント:「担当者ごと」などの限定語に線を引いて照合します。
問2 無停止でのアプリ切換え(正解イ)
題材:クラウド上のECサイトで、ロードバランサーのグループ切換機能を使い、サイトを止めずにアプリを新旧入れ替える手順を検証します。
問われていること:要件を満たす条件と、切戻しの妨げになる手順です。
正解と考え方:条件は、旧版が最後にリクエストを受けた時刻が、新版が最初にリクエストを受けた時刻より早いことです。要件は一つのバージョンだけが受け付けることなので、見るのは「受けた時刻」です。切戻しにはグループ1の仮想マシンが稼働中である必要があり、これを停止する手順(13)は削除対象です。イメージ削除の(14)は起動済みの仮想マシンに影響せず、妨げになりません。
対策ポイント:要件の言葉と、ログで確かめる事実を結びつけます。
問3 橋梁点検IoTのアーキテクチャ(正解キ)
題材:センサーノードとカメラロボットで橋梁を点検する仕組みです。ロボット操縦に風向・風力を使いたいものの、診断サーバ上のデータは1時間ごとの送信分でした。
問われていること:本文の空欄に入る性質、構成要素、データの組合せです。
正解と考え方:診断サーバ上の橋梁情報には「即時性」がありません。そこで、点検制御装置の要求を受けた診断サーバがセンサーノードに要求し、橋梁情報を受け取って返す方式にします。これで即時性と、電池駆動のセンサーノードの省電力性を両立できます。
対策ポイント:表の仕様(電池、送信間隔)から制約を読み取ります。
問4 WebSocketのハンドシェイク(正解ア)
題材:取引先システムとリアルタイム通信するWebシステムで、WebSocket通信開始時のハンドシェイク仕様が題材です。
問われていること:ヘッダ、ステータスコード、ハッシュ方式、検証でわかる内容の組合せです。
正解と考え方:要求側は「Upgrade: websocket」と「Connection: Upgrade」を送り、受け入れ側も応答ヘッダに同じ2行を指定したうえでステータスコード101を返します。Sec-WebSocket-Acceptの計算にはSHA-1が使われます。この検証で分かるのは、相手がWebSocketのハンドシェイクを理解して応答したことです。相手が本物かの確認(認証)はTLSの証明書検証など別の仕組みの役割です(RFC 6455に基づく一般知識で、IPA原文にはありません)。200や「Connection: websocket」は仕様に合いません。
対策ポイント:プロトコルの要点はメッセージ例とあわせて覚えます。
問5 収穫ロボットの状態遷移(正解ア)
題材:温室のトマト自動収穫ロボットの動作が文章で示され、状態遷移図の空欄を埋めます。
問われていること:図中の四つの状態の組合せです。
正解と考え方:正解は、a異常、b検出中、c収穫中、d積載中です。文章の遷移順では、収穫開始位置で検出中、適したトマトが見つかれば収穫中、収穫後は積載中に進みます。この順序に合わない組合せは外れます。
対策ポイント:動作説明を「状態」「きっかけ」「次の状態」に分けて書き出します。
問6 スクラムの役割とペアプログラミング(正解オ)
題材:ツアー販売サービスにスクラムを適用し、アジャイル経験者を育てながら進める事例です。
問われていること:スクラムマスターの支援内容と、ペアプログラミングの割当てです。
正解と考え方:スクラムマスターは、メンバー全員が自律的に協働できるよう支援する役割です。ペアは、アジャイル未経験だが現行システムを知るM4と、経験者だが現行システムを知らないM6を組み、交代でドライバーとナビゲーターを務めます。互いの経験を補い合えます。未経験者同士や役割固定では共有が偏ります。
対策ポイント:スクラムの役割とプラクティスの目的を短く説明できるようにします。
システム区分は高度情報技術システム試験の想定問題集でも練習できます。
現行の応用情報技術者試験・高度試験の午後問題との違い
現行の応用情報技術者試験や現行の高度試験(ITストラテジスト試験など8区分)の午後問題は、記述式や論述式を含みます。今回のサンプル問題は、いずれも組合せを選ぶ多肢選択で、記述や論述はありません。サンプルの限りでは、字句を書く力より、本文を根拠に候補を絞る読解と判断が問われる形です。ただしサンプルは形式のイメージ共有用なので、本番の形式は今後の公表を待つ必要があります。
新しい高度情報技術試験の試験時間・出題数は、IPAの見直しの検討状況(2026年3月31日公表)に予定値があります。科目A-1は90分・60問、科目A-2と科目Bを合わせて120分、科目A-2は23問、科目Bは12問で、3区分とも同じです。2026年3月公表の検討状況に基づく予定値で、変更の可能性があります。サンプル問題自体に試験時間・出題数の記載はなく、IPAは配点・合格基準・受験料を公表していません。制度全体は高度情報技術試験の全体像とスケジュール、応用情報との位置づけは応用情報・高度試験との比較をご覧ください。
科目B対策の進め方と学習リソース
サンプル問題は本番と同じ作成・チェックを経たものではないため、点数を測るより、形式に慣れて読み解く手順を固める教材として使いましょう。
- 出題趣旨を読み、各問が評価したい能力を確認します。
- 自分で時間を決めて1問解き、本文のどこが根拠かを線引きします。
- 空欄ごとに候補を絞り、他の選択肢が誤りである理由も説明します。
- 弱い分野を学習し直します。
基礎は高度情報技術マネジメント試験の入門学習で確認できます。全体は高度情報技術試験の総合ページをご覧ください。
よくある質問
高度情報技術マネジメント試験とシステム試験のサンプル問題はいつ公表されましたか?
どちらもIPAが2026年8月31日に公表しました。マネジメント区分は4問、システム区分は6問で、解答例と出題趣旨が付いています。IPAの公表物では旧称の「プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)」「同(システム)試験(仮称)」の名称で掲載されています。新名称は省令案に基づくもので、公布前のため変更される可能性があります。
科目Bサンプル問題は記述式ですか?
記述式ではありません。マネジメント・システムともに、事例文を読み、空欄に入る字句や該当する項番の組合せを解答群から選ぶ多肢選択式で、記述や論述はありません。ただしサンプル問題は出題形式のイメージを共有するためのもので、本番と同じ作成プロセスを経ていません。試験時間・出題数の予定値は変更の可能性があり、配点はIPAから公表されていません。
データ・AI試験のサンプル問題も公表されていますか?
公表されています。データ・AI区分の科目Bサンプル問題は2026年10月30日にIPAが公表し、6問の構成です。マネジメント・システムの8月31日公表分とは別のPDFで、データコントラクト、回帰分析、SQL、擬似言語などが題材です。個別の解説は別記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
- マネジメント4問、システム6問のサンプル問題は2026年8月31日に公表され、いずれも組合せを選ぶ多肢選択式です。
- 正解はマネジメントが エ・エ・カ・ウ、システムが エ・イ・キ・ア・ア・オ です。
- 現行の応用情報・高度試験の午後問題と違い、サンプルに記述・論述はありません。
- 試験時間・出題数は2026年3月公表の予定値で変更の可能性があり、IPAは配点・合格基準を公表していません。サンプル問題は本試験1回分ではなく、形式のイメージとして活用しましょう。