2027年新制度での扱い(注意)
参考書を選ぶ前に、試験制度に関する前提を確認しておきます。IPA(情報処理推進機構)が2026年3月31日に公表し2026年4月28日に更新した試験制度見直しの検討状況によれば、2027年度春頃から新しい試験制度への移行が予定されていますが、情報セキュリティマネジメント試験という試験区分そのものは 「継続」と位置づけられています。現行制度は2026年度の試験実施をもって終了する予定です。なお、この内容はあくまで現時点 (確認日: 2026年10月4日)での検討状況であり、今後変更される可能性がある点にもご留意ください。制度移行の詳しい経緯は、情報セキュリティマネジメント試験はなくなる?制度移行の最新状況と今後の選択肢で解説しています。
参考書選びに関わる重要な点として、2027年度からの新試験制度に向けた「情報セキュリティマネジメント試験 シラバス案Ver.0.1」は 2026年9月30日にIPA公式サイト「シラバス改訂」に掲載済みですが、これはまだ「案」の段階です。市販の参考書が新シラバスに対応した版を出すのは、シラバスが確定し、 実際に新制度での出題が始まった後になると考えられます。そのため、現時点(2026年10月4日時点)で参考書を選ぶ場合は、 現行シラバスに対応した最新版を選ぶのが基本の考え方になります。購入前には、各参考書の奥付や出版社サイトで 「対応年度・対応試験」の表記を必ず確認してください。
情報セキュリティマネジメント試験の参考書の選び方(結論)
結論から言うと、情報セキュリティマネジメント試験の参考書選びは、「科目A(多肢選択式の知識問題)に対応しているか」と 「科目B(事例をもとにした判断問題)に対応しているか」という2つの軸で考えるのが基本です。
情報セキュリティマネジメント試験は、科目Aと科目Bを合わせて試験時間120分、出題数は科目A48問・科目B12問の合計60問で構成されています (出典: IPA公式「情報セキュリティマネジメント試験」出題内容)。合否は科目A・科目Bを合算した総合評価点が1,000点満点中600点以上かどうかで判定される仕組み (IRT:項目応答理論による採点)で、科目ごとの個別基準点はありません。この出題構成を踏まえると、参考書も 「知識を広く身につける科目A対応」と「長文の事例から適切な判断を選ぶ科目B対応」の両方をカバーしているかを確認する必要があります。
参考書のタイプを大きく整理すると、次の3種類に分けられます。
| 参考書タイプ | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 総合テキスト(科目A・B対応) | 出題範囲全体を解説し、巻末や別冊に問題も収録。初めの1冊として使いやすい | これから学習を始める人、基礎から体系的に理解したい人 |
| 問題集・過去問題集 | 演習量を重視。公開問題や予想問題を解説付きで繰り返し演習できる | テキストで基礎を終え、演習量を増やしたい人 |
| 科目B対策特化型(頻出問題集・事例問題集) | 事例形式の長文問題の読み方・解き方に絞って解説 | 科目Bの長文読解・状況判断が苦手な人 |
総合テキスト1冊だけで科目A・科目Bの両方をある程度カバーできる構成の参考書も増えていますが、科目Bの演習量に不安を感じる場合は、 問題集・科目B特化型を後から追加する組み合わせ方が現実的です。
参考書を選ぶときに確認すべき3つのポイント
同じ「情報セキュリティマネジメント試験対策」と書かれた参考書でも、対応している年度やシラバス、科目Bの演習量には差があります。 購入前に、次の3つのポイントを確認してください。
ポイント1:対応年度・対応シラバスが最新かどうか
参考書は出版社ごとに年1回のペースで改訂されるのが一般的です。中古やフリマアプリで安く入手できる参考書の中には、 数年前の版のまま出題範囲が更新されていないものもあります。購入前に、書籍の表紙やタイトルに記載された対応年度 (例:「2026年版」「令和08年」など)を必ず確認し、現行シラバスに対応した最新版を選びましょう。 前章で触れたとおり、2027年度からの新制度向けシラバスはまだ案の段階のため、現時点では現行シラバス対応版を選ぶのが基本です。
ポイント2:科目B(事例問題)の演習量が十分かどうか
科目Bは、業務上のシナリオを読み、設問の状況で適切な対応を選ぶ形式の問題です。単純な知識の暗記だけでは対応しづらいため、 参考書を選ぶ際には、科目B形式の問題がどれだけ収録されているかを確認してください。出版社の書籍紹介ページに 「科目B〇問収録」「予想問題+過去問題集」のように演習量が明記されている場合は、判断材料になります。 例えば、翔泳社の「情報処理教科書 出るとこだけ!情報セキュリティマネジメント[科目A][科目B]テキスト 2026年版」 (橋本祐史著)のように、科目A・科目Bのテキストと演習の両方をカバーする構成の参考書もあります (出典: ネオウィング 商品ページ)。
ポイント3:解説の詳しさ(なぜその答えになるかが書かれているか)
正解・不正解だけが書かれた問題集は、間違えた問題の理由が理解できず、同じ間違いを繰り返しやすくなります。 選択肢ごとに「なぜ正しいか/なぜ誤りか」まで解説されている参考書を選ぶと、科目A・科目Bのどちらでも知識の定着につながります。 イラストや図解を中心に説明するタイプの参考書(例:技術評論社「キタミ式イラストIT塾 情報セキュリティマネジメント 令和08年」 きたみりゅうじ著、出典: 技術評論社 公式ページ)は、丸暗記ではなく仕組みから理解したい方に向いています。一方、過去問・予想問題の演習量を重視したい場合は、 技術評論社「令和08年 情報セキュリティマネジメント パーフェクトラーニング過去問題集」(出典: 技術評論社 公式ページ)のような演習特化型の問題集、やさしい解説と科目A・科目Bの頻出問題を組み合わせたSBクリエイティブ 「だれでもわかる&受かる!情報セキュリティマネジメントやさしいテキスト+頻出問題集[科目A・科目B] 2026年版」 (出典: SBクリエイティブ 公式サポートページ)のような選択肢もあります。いずれも対応年度・シラバス対応を確認したうえで、自分の理解度に合うタイプを選んでください。
なお、ここで挙げた書籍は特定の1冊をおすすめするものではなく、「総合テキスト型」「過去問演習型」 「やさしい解説+科目B対策型」という参考書タイプの違いを示す例として紹介しています。実際に購入する際は、 書店や出版社の公式サイトで最新の対応年度を確認してください。
独学で合格するための学習ステップ
情報セキュリティマネジメント試験は、ITパスポート試験に比べると専門的な内容が増えますが、CBT方式で随時受験できる試験であり、 計画的に独学で合格を目指すことも十分可能です。学習の進め方を、おおまかなステップに分けて整理します。
| 学習ステップ | 期間の目安 | やること |
|---|---|---|
| ステップ1:全体像の把握 | 1〜2週間程度 | 総合テキストを通読し、科目Aの出題範囲(テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の基礎知識)を把握する |
| ステップ2:科目Aの演習 | 2〜3週間程度 | 問題集や無料模擬試験で科目A形式の問題を繰り返し解き、知識の定着を図る |
| ステップ3:科目B対策 | 2〜3週間程度 | 事例問題に特化した参考書・問題集で、長文から必要な情報を読み取り判断する練習を行う |
| ステップ4:総仕上げ | 1週間程度 | 科目A・科目Bを合わせた120分の本番形式を意識し、通し演習と無料模擬試験での実力確認を行う |
上記の期間はあくまで一般的な目安で、学習に充てられる時間や前提知識(ITパスポート試験の学習経験があるかどうかなど)によって大きく変動します。 より詳しい勉強時間の目安については、情報セキュリティマネジメント試験の難易度は?合格率・勉強時間を解説で解説していますので、あわせてご覧ください。
学習を進める順番としては、まず総合テキストで全体像をつかみ、次に問題集で演習量を積み、最後に科目B特化型の教材や模擬試験で本番に近い形式に慣れる、 という流れが無理のない進め方です。情報セキュリティ資格全体の体系や、レベル2試験としての情報セキュリティマネジメント試験の位置づけを確認したい方は、IPAセキュリティ系資格ロードマップも参考にしてください。
参考書と無料模試を併用して効果を高める方法
参考書だけで学習を終えようとすると、「知識は覚えたはずなのに、本番形式で解くと時間が足りない」という状態になりやすいです。 参考書で得た知識を、CBT本番に近い形式で試す機会を増やすことが、独学における対策の精度を上げるポイントです。
PassDojoでは、情報セキュリティマネジメント試験の令和7年度公開問題を無料の模擬試験として提供しています。 実際の試験は60問で構成されますが、IPAはそのうち15問を毎年度「公開問題」として公表しており、PassDojoではこの公開問題をもとにした演習問題を、 解説付きで無料で解くことができます。公開問題の詳しい入手方法や科目Bの傾向については、情報セキュリティマネジメント試験の過去問はどこで入手?公開問題と科目Bの傾向で解説していますので、こちらもあわせて参考にしてください。
参考書で一通り学習した後に、情報セキュリティマネジメント試験 令和7年度 公開問題で実際に時間を計って解いてみると、参考書の内容がどれだけ身についているか、本番形式でどの程度のスピードで解けるかを確認できます。 間違えた問題は、参考書の該当分野に戻って復習するという往復の学習が効果的です。
参考書だけでは対策しづらい科目Bの補い方
科目Bは、業務上のシナリオ(例:社内の情報システム部門での対応方針を検討する場面など)を読み、設問に対して最も適切な対応を選ぶ形式の問題です。 単純な用語の暗記だけでは対応しにくく、「この状況ではどう判断すべきか」という考え方そのものを練習する必要があります。
参考書だけでは科目Bの演習量が十分に確保できないと感じる場合は、次のような補い方が考えられます。
- 科目B対策に特化した問題集・頻出問題集を追加し、演習量を増やす
- PassDojoの無料模擬試験で、科目B形式の公開問題を解き、解説で判断の根拠を確認する
- 間違えた問題について、「なぜその選択肢が正解なのか」を自分の言葉で説明できるかを確認する (説明できない場合は理解が不十分なサイン)
科目Bは一度解き方のパターンに慣れると、初見の事例問題でも落ち着いて対応しやすくなります。参考書の解説を読むだけでなく、 実際に時間を計って問題を解く練習を繰り返すことが重要です。
よくある学習の失敗パターンと回避策
独学で情報セキュリティマネジメント試験に挑戦する方によく見られる失敗パターンと、その回避策を整理します。
1点目は、「古い版の参考書で学習してしまう」失敗です。中古や譜渡された参考書を使う場合、対応年度が古く、 現在の出題範囲とズレている可能性があります。対応年度は必ず最新のものを確認しましょう。
2点目は、「科目Aの知識だけで満足し、科目Bの演習を後回しにする」失敗です。科目Aで高得点が取れても、 科目Bで大きく失点すると総合評価点が基準に届かない可能性があります。学習の早い段階から、科目B形式の問題にも触れておくことをおすすめします。
3点目は、「参考書を何冊も買い、どれも中途半端にしか終わらせない」失敗です。複数の参考書に手を広げるよりも、 1冊の総合テキストを最後までやり切り、演習量が不足する部分だけを問題集で補うほうが、学習の効率はよくなります。
よくある質問
独学で情報セキュリティマネジメント試験に合格できますか?
はい、独学での合格は可能です。情報セキュリティマネジメント試験はCBT方式で随時受験できる試験であり、 直近3年度(令和5〜7年度)の合格率は69.0〜72.6%で推移しています (出典: IPA公式統計情報)。年度によって変動するため、最新の数値は公式サイトでご確認ください。参考書で知識を身につけ、無料模擬試験で演習量を補うことで、 独学でも十分に対策できます。
参考書は1冊で足りますか?
科目A・科目B両方に対応した総合テキストであれば、1冊でも基礎的な対策は可能です。ただし、科目Bの演習量に不安がある場合は、 科目B対策に特化した問題集を1冊追加する組み合わせ方が安心です。何冊も参考書を買い揃えるよりも、1冊をやり切ったうえで、 不足している分野だけを補う考え方をおすすめします。
参考書と過去問、どちらを優先すべきですか?
学習の順番としては、まず参考書(総合テキスト)で出題範囲全体の知識を身につけ、そのうえで過去問・公開問題で演習量を積む流れが基本です。 情報セキュリティマネジメント試験はCBT方式のため、IPAが公開しているのは年度ごとの公開問題15問に限られます。公開問題の詳しい扱いについては、情報セキュリティマネジメント試験の過去問はどこで入手?公開問題と科目Bの傾向で解説しています。
まとめ
情報セキュリティマネジメント試験の参考書選びでは、特定の1冊を断定的におすすめするよりも、 「科目A・科目Bの両方に対応しているか」「対応年度・シラバスが最新か」「科目Bの演習量と解説の詳しさが十分か」という基準で選ぶことが重要です。 2027年度からの新試験制度に向けたシラバス案は2026年9月30日に公開済みですが、まだ検討状況の段階(確認日: 2026年10月4日)であり、 現時点では現行シラバスに対応した最新版の参考書を選びましょう。
独学で合格を目指す場合は、総合テキストで全体像をつかみ、問題集で演習量を積み、科目B特化型の教材や無料模擬試験で本番形式に慣れるという流れがおすすめです。 参考書での学習と並行して、情報セキュリティマネジメント試験 令和7年度 公開問題で実力を確認しながら進めてください。試験全体の概要や制度移行の詳細は情報セキュリティマネジメント試験のトップページ、難易度・合格率の詳細は情報セキュリティマネジメント試験の難易度は?合格率・勉強時間を解説でも解説していますので、あわせてご活用ください。
受験料・試験時間・合格率などの数値は年度によって変動する可能性があります。最新情報はIPA公式サイト、受験料の詳細はIPA公式「受験手数料」でご確認ください。